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2024/11/24 20:01 |
4日目/二期
【Kitty Guyの言い訳】

3日目の日記と4日目の日記で個人的に辻褄合わせてます。
俺ルールで。
置いてけぼりーおいてけぼりー。

ごめんようPMさん、(と、もしこげなにっきよんでるかたいたらごめなさい;)

以下、日記



俺が偽島に再度訪れる、少し前の事を思い返す。

=====●月■日・夜/美作紗夜宅・リビング=====

島から帰って2週間、俺は自宅ではなく、姉・紗夜の家に泊まり込んだ。
紗夜の、花嫁修業の為だ。


紗夜は13歳程で精神を病んだ。
暫くして、持て余した親は紗夜を曰くつきの一軒家に放り込んだ。
最初は何も出来ず一日中蹲っているだけだった。
だから、俺が紗夜の家に通い、サポートしていた。
10年近くも一人暮らしをしていれば大抵の家事は出来る。
ただ、どうしても動けなくなる日もあった為、サポートは続けていたが。


掃除のちょっとしたコツ、整理整頓術、アイロンのかけ方、etc.etc...
細かい事を2週間かけて、叩き込んだ。

紗夜は頭が子供思考な為、度々やる気をなくしかける。
そんな時はハナヨメシュギョウ、という単語を聞かせれば、驚くほど真剣に履修した。
唯一つの弱点、料理はまだ不安な所があるが、大分マシだ。
あと、一般常識も不安だが、ここは式村に託す。


書類や手続き、それから通院も。
2週間の内に、俺ができる限りのことをした。
リビングのガラステーブルに両手を突き、俺は花嫁修行の完了を告げる。

「之で、一通り必要な事は教えた、ハナヨメシュギョウは終了だ」
「うん。 ノートにもちゃんと書いたんだよ!
これで、バッチリしっかり、いいお嫁さんになれる?」

俺と同じ顔をした女がリビングのガラステーブルの向こう側から身を乗り出して訊ねる。
当人は自分を年相応と言い張るが、俺より7つ年上の癖に双子か妹に見られる。

よく言えば無邪気、悪く言えばガキくさい思考回路。
諸事情で染み付いている為、流石に2週間じゃ直せなかった。

それはそうと、ムカつく位にデレデレしている紗夜が不快なので、軽くあしらっておく。

「式村の判定が俺に分かるわけねェだろ。
料理は食えなくは無ェが精進しろ。
他の掃除だ洗濯だは元からやってたし、合格にしてやるよ。

あぁ、貰い物だが台所にレシピ集置いておく。
献立に困ったらそれ使え」


台所の棚においてある手帳。
島で出会った、タカという少年の相方という青年から貰った物だ。
丁寧な文字で、作り方を分かりやすく綴ってある。
本格的なものから軽いお菓子まで、レパートリーも豊富だ。
俺に、と言って渡して貰っておいて申し訳ないが、ここに残した方が有意義だ。


「うーん……」

今までのハナヨメシュギョウで頑張った反動か、紗夜はふああ、とあくび交じりに生返事をする。
真ん中の長ソファに移動して、ごろんと寝そべる。
このまま寝入る気らしい。

「じゃ、俺行くからな」
「わかったー ばいばーい」

この家で俺がすべき事は終わった、次の行動に移らなければならない。
紗夜の生返事を聞きながら、隣の部屋から掛け布団を運び出して紗夜に掛けると、紗夜が少しだけ目を覚ました。

「すーちゃん、ありがとう」

にはーっと、幸せそうな笑顔でそれだけ言って、目を閉じた。
全ての窓に鍵を掛けカーテンを引いて回り、荷物を纏めた頃には完全に寝入っていた。
そういえば先刻、就寝前の薬を飲んでいたのを思い出した。

俺は自分の首に下げていた、繊細なチェーンネックレスに銀の指輪を通したものを外し、そいつを紗夜の首にかけた。
貰った当時の革紐はチェーンに変わってしまったが、これもここに残るべき物だ。
紗夜は、目を覚ます気配も、悪夢を見ている様子も無い。
さあ、この家を出なければ。


=====

「さよなら、姉さん」
ガスの元栓を確かめ、明かりも全て消した紗夜の家。
余程の問題が無い限り、もう二度と見る事も無いだろう。
俺はため息をついて、外から玄関の鍵を掛け、合鍵を新聞受けに突っ込んだ。


=====●月×▼日・???=====

暫く続いた眩暈と息切れが収まり、起き上がる。
俺は、どこまでも灰色で、上下左右のない空間に居た。
先刻まで居た、街の片隅とは全く別な場所らしい。
建物も雑踏も、生き物すら見当たらない。
生活音も沈黙時に聞こえる、あの高いような低いようなシーンという音さえも聞こえない。

数メートル先に、黒い燕尾服を着た男が現れ、胡散臭い笑顔を浮かべて俺に手を振る。
真っ白い、道化師じみた法衣の少女が、いつの間にか男の隣から無表情にこちらを見ていた。


本で読んだ、××××××××という奴だろうか。
そう思うと、燕尾服の男が手を振るのをやめ、歌うように話し始める。

「君の思うそれと、君の読んだ紙媒体の記述が僕たちに必ずしも当てはまるとは限らないよ。
でもまぁそんな事は紙媒体の著者にも坊やにも、僕達にとってもどうでもいい事じゃあないか。
僕は隣の彼女を明(メイ)と呼び、僕自身の事は滅(メツ)って呼んでいるよ。
名前やカテゴライズなんてただの記号や個人差のある区分でしかないし、僕らをどう呼びどう解釈しても構わないよ」

数々のボディランゲージを駆使しながら其処まで一気に喋り切ると、
男は手をくるりと一回転させ、銀色に輝く懐中時計を取り出した。
蓋を開けるとそれは、懐中時計の形をした、砂時計だった。
上の筒に入った細かい砂が、きらきら輝きながら下の筒へ堕ちて行く。

なんだか夢を見ているような幻想的な光景に思え、俺はただ砂が零れて行く様子に見入っていた。

上の筒に入った砂が全て落ち切った所で、彫像のような少女が口を開いた。


刻限だ


男とは対照的に、少女の声は無機質で感情も抑揚もなかった。
ただ、言葉を連ねているだけでしかない。
それなのに、言い知れぬ恐怖を感じた。
たまらなくなって、俺は二人に背を向けて逃げた。

見る見るうちに二人の姿が遠ざかり、ついには消えた。
だが、妙な焦燥感に狩られ、俺は走り続ける。

視界の隅を黒い何かが横切る。
燕尾服の男と同じ目をした、黒い狐だった。
そいつは俺を嘲いおちょくる様に、数メートル先で蛇行する。

急に足が重くなり、どんなに走っても全く進めなくなった。
足をもつれさせ転び這いずりながら、それでもここから逃げようとして、俺はもがく。

不意に、胸が苦しくなった。
この空間で、今まで自分が呼吸をしていなかった事に気がついた。
酸素を吸おうとしても吸えず、二酸化炭素を排出しようとしても出て行かない。
喘息の発作の時に似た苦痛に、胸をかきむしる。

動けなくなり、その場で蹲りのた打う俺の数メートル下に、白いモノが見えた。
悠々と泳いでいる、白いシーラカンスのように見えた。

ヒュ、ヒュと擦れた音を立てる気管も、脈も、だんだん弱くなっていくように感じる。
そうだ、これはあの日と同じ、終わりの時の感じだ。
【刻限】というのはこういう事なんだ。

――― あの娘に逢いたいのに、まだ終わりたくないのに ―――
それでも、体中から力が抜け、ゆっくり感覚が麻痺していくのを止められない。


黒い狐と白いシーラカンスはただじっとこちらを見ている。


恐らく人間が最期、と呼ぶ瞬間。
俺の視界に残ったのは、目の前に並んだ黒い狐と白いシーラカンス。
聴覚に残ったのは、黒い燕尾服の男と白い道化師法衣の少女の声。
二人で同じ言葉を同時に喋っていたが、よく聞き取れなかった。





=====

そして、気がつけば俺は「偽島」と呼ばれる地の波打ち際に伏していた。
直前まで何をしていたか、暫く思い出せなかった。
紗夜の家を出た後は、実家で荷物を纏め、出て行った。
家出の数日後に気分が悪くなって倒れ、気がつくと島に居た。

そこまで思い出した所で、同じく家出してきた虎渡に捕まった。
キルサンと連絡を取り、合流する事にした。
大体そんな感じで間違いないと思う。


=====島到着後2日目=====

俺が一緒だと何かと便利ッスよ!

そう豪語して付いて来た太子だが、今の所、特に利点は無い。
自分で食料調達等はこなしているが、知人達への挨拶等で逆にヒヤヒヤさせられる事の方が多い。


キルサンとの通信で、今回の冒険では、同行者が調理を担当する。
料理技能がかぶっても仕方が無いので、今回は同行者に任せる事にした。
能無しも難なので、島帰りに義兄、式村醍から教わった合成を試してみる事にした。

曰く、
「右手に元のモノを持って左手に加えるモンを持って、気合を入れて…  こうだッ!!(ゴシャッ/合掌」

との事だ。
探索中もその手順で合成を成功させる様子を何度か見ている。
式村の言った通りの手順を再現している筈なのだが、何度試しても巧く行かない。
気合を込めた左手を、右手にもったおいしい草に叩きつけ続ける事、半時間。
流石に、疲れてきた。

「にーさん、何してんスか?」

仕舞いには太子に呆れ顔で訊ねられた。
むかつくので俺はそっけなく答える。
「合成」
「え、そうやって合成するんスか?」

太子が目をぱちくりさせ、俺の手元を指す。
つられて己の手元を見ると、左手は空だった。
之では成功する訳が無い。

な ん と い う 凡 ミ ス

自己嫌悪に陥る俺を他所に、太子は俺の足元に置いたメモを興味深そうに覗き込む。
式村から聞いた合成方法と、今回のレシピを書いたものだ。
そして、ニカッと笑う。

「面白そうっスね、ちょっと俺に貸してーやらしてー」

言うと思った。
自分のミスとは言え疲れて気力も無い。
一度位こいつに試させても良いだろう。
俺は太子が合成に挑戦する事を許可した。

材料のおいしい草を両手に持って、太子はこの上なく楽しそうに笑っている。
俺はなんとなく不安になった。


「右手と左手に材料持ってー せいっ!(ゴシャ

太子が気合を込めて、勢い良く両手を打ちつける。
いとも簡単に、どうしようもない物体が出来上がった。
太子は満面の笑みで、完成品を俺に手渡す。

一つだけ、太子の利点を見つけた。
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2007/06/05 10:36 | Comments(0) | TrackBack() | 日記/二期

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