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2017/10/23 13:16 |
二期/14日目
日記補完。
=====???・メモ帳の断片=====

(メモ帳の断片に淡々とした字面で何か綴られている)

面倒だ あぁ面倒だ あの野郎


=====13日目・夜=====

予定の打ち合わせも終わり、後は休むだけという時間。
俺は同行者から少し離れ、一人で野営地のテントの隅に座り込んでいた。

苛付いて仕様が無い。
人の口に戸を立てられない事など判りきっている。
それでも腹立たしさを収める事は出来なかった。

ここに来る前、俺は俺に関する記録と言う記録をほぼ全て抹消してきた。
恐らく調べて拾える情報は【発作による窒息死、7歳の頃鬼籍に入った】事くらいだ。
なぜそんな事をしたのかと言うと、二度と帰りたくないからだ。

アイツが、俺が居なくても生きていけるようになった時。
王子様が現れて幸せに暮らすようになった時。
俺は自分の居た痕跡を消して、街から出て行く。
アイツが壊れてしまった日、俺はそうすると決めた。

崇高な目的でも、お綺麗な気遣いや何やでもない。
単なる俺のエゴでしかないが、10年近く経っても気は変わらなかった。
そして、当初の予定通り、実行した。

元居た場所での戸籍だ生い立ちだといった情報は、この島では関係ない。
偽名も特に思いつかないし、そもそもこの島で偽名を使っても意味が無い。
故に、俺が美作駿斗を名乗っても差し支えない。
寧ろそのままの方が以前の島探索中に出会った者にも分かり易かろう。

そう思っていた。

それが甘いと判ったのは、式村の血族がここに居ると知った時だった。
式村の血縁の娘は、アイツの夫となった男の身近な存在らしい。
式村と美作から遠ざかろうとしている癖に、俺はその娘から必死になってアイツの様子を聞きだそうとしていた。

式村に入ったアイツの様子を聞いても、娘の返答は曖昧なもので、大抵アイツを娶った男の様子や、そいつの話した事の伝聞だった。
しかし、アイツの弟の話になると微妙に態度が変わった。
秘密を知ってますが空気を読んでいますよ、と言うような感じ。
いつか見た、知人の【訳知り顔】を思い出し、
それに対して、決して良いとは言え無い感情を持った。

彼女が言う、鬼籍に入った【美作駿斗】に関する情報ソース。
それは恐らく前回の探索での同行者、式村兄妹で間違いないだろう。
鬼籍に入ったガキの事など、なぜ関係ない彼女に話した。


その後俺は、頭に血が上るに任せ、頭の悪い言動をした。
式村家の娘にとっては大層理不尽であろう。
俺に対しての敵意、今後の状態悪化は恐らく避けられない。

されど、俺は怒りを覚えずに居られない。
式村に入って、4年も式村の血の者とロクに挨拶もしないままか、と。
血縁の付き合いはややこしいが、いざと言う時に必要だったりする。
冠婚葬祭、折々の儀式の際等、親族が集まる機に困るのではなかろうか。
本当に大丈夫なのかと不安になる。


一度、アイツに会ってみるべきだろうか。


痕跡や記録を全て抹消して消えた俺を、アイツは恨んでいるかもしれないが。
島にいる式村家の娘の事も含め色々と思考を展開する。
だが、冷静に慣れない頭では何が纏るわけも無い。

下手の考え休むに似たり。
野営地の隅で座ったまま、ただ時間だけが過ぎていった。


モッサアアアアアア


近づいてくる歩行雑草の鳴き声に、思考を中断される。
鳴き声の方へ振り返ると、アギさんを連れた、太子が寄ってくる。
訓練を終えたのだろう、良い汗書いた、と言わんばかりの上機嫌だ。
軽やかに砂を踏む足を止め、太子は目をぱちくりさせて問うた。

「およ。にーさんそんなトコで何してるっスか?」
「まぁ、色々と考え事を」

詳しい話をする積りは無い。
軽くあしらおうとすると、太子は呆れた顔で更に話しかけてきた。

「考えるのも良いっスけど、手紙の返事書かないとヤバイっスよ?
にーさんココの所溜めすぎッス。
このままじゃメッセージのメタボリック症候群になるッス!」
うるせェよ

ギリリ、と歯を食いしばりながらひと睨みする。
太子は目を丸くし、アギさんはなぜかポージングを取って一瞬フリーズした。
「に、にーさんのボルケイノは御免っス!!」
疾風のごとく一人と一匹は逃げていった。

「全く……」
テメェの聖戦と称した暴走の方がよっぽど危険だろうが。
胸中で毒づいて、思考を再開する。


=====

『いやはや、まったくまったくだねぇ、これだから人間って愚かで哀れで滑稽で面白くて見てて飽きない、娯楽には最適だよねぇ』
耳慣れない、若い男の声にふと顔を上げると、黒い狐が俺を覗き込んでいた。
周りを見回すと、どこまでも灰色一色の、見知らぬ場所に居た。
さっきまで座り込んでいた砂地の感触も、野営地のテントも、同行者達も。
黒い狐と俺以外、何一つ存在していない。
俺が口を開くより早く、狐がまくし立てる。

『お前は誰だ? って言おうとしたぁ? もしくはココはどこだ?って聞きたかったのかなぁ?
まぁ色々と事情があって僕達の事は君の記憶に残らない仕様になってるから、君がそう気にしても無駄でしか無いんだけども、そうだなぁ、今君がここにこうして存在してる原因の内の一つって所だよ、あぁ別に理解しようとしなくてもいいよ理解できなくても全く問題ないからねぇ』

この間祭りで買った面に似ていなくもない狐は、あきれるような長文を一息に話した。
よく息が続くものだ。
異形に息継ぎなど必要ないのかもしれないが。

『あぁ、ココに居る限りは時間の事は気にしなくても良いよ、そんなに切羽詰った顔してないでのんびり話でもしようじゃないか、話の展開によっては君の記憶に残しても良い、そうだねぇ何から話そうかなぁ』

俺の気持ちや都合などお構いナシに、黒い狐は愉快そうに笑った。

どこまでも灰色で、俺と狐以外に何も存在しない。
上下左右の無い空間。
架空の世界での出来事描写なんかではありきたりだ。
だが俺はこの空間を知って居る気がする。

『そうだねぇじゃあまず昔話、思い出話と以降じゃないか、どうせ話題も特に思い浮かばないだろうから僕が決めても差し支えないね?
じゃあまず僕らが出会った時の事から思い出させてあげるよ、その方が君も納得できるだろう?』

狐が言うと同時に、俺達の眼前に、薄っぺらいモニタのようなものが表れた。
普段移動場所等を相談する時にキルサンが出力してくれるマップやらのモニタに近い。
モニタにはぐしゃぐしゃの泣き顔で喚くガキが映っていた。
年の頃で言うと7歳ほど。

『うんうん、何時もどおり中々の映り具合だ、よく撮れているだろう?
さて、僕の記録だと映像はココからなんだけど、もう少し前から見てもいい、何しろ時間はたっぷりあるんだからねぇ。
君はこの子に見覚えがあるから恐らくは必要ないと思うんだけど、どうだい?』

狐が意地悪そうに、心底愉快でたまらないといった調子で喋って居るが、その言葉も余り耳に入らなかった。
映っている明茶色の短い髪に黒い目をした子供は、大泣きしながら何かを喋っている。
聞き取りづらいが、誰かに何かをせがんでいるようだ。


その映像は記憶に無いが、その子を覚えていないワケが無い。
そいつは、ガキ頃の―――
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2007/07/24 14:48 | Comments(0) | TrackBack(0) | 日記/二期

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