れ、レンタルしたいがあの方いたっけか?
ああいたよかった。
これで安心して肖像権強奪が可能になるわけだ。
そんなことを書き連ねちゃァいますが、
レンタルではなく日記補完ですよ。
以下、日記。
ああいたよかった。
これで安心して肖像権強奪が可能になるわけだ。
そんなことを書き連ねちゃァいますが、
レンタルではなく日記補完ですよ。
以下、日記。
=====2日目 遺跡内 夜明け前。=====
デジタル時計のパネルライトでは午前5時前。
まだみんな眠っているか画像表示をオフにして休んでるかしている。
俺の隣には白髪に黒メッシュの子供が丸くなって眠っている。
ジャケットに半パンという格好はどう見ても冒険に似つかわしくない。
こんな服装でよく今まで無事だったものだと思う。
思わずため息が出る。
服装といえばこいつの姉も……
=====初日、遺跡外・昼過ぎ=====
いったん集合場所に顔を出した俺は、同行者に事情を話してライオスの保護者を探したい旨を伝えた。
遺跡での探索は明日からということで、準備をしっかりするという条件付で時間をもらって、繁華街を探し歩いていた。
遺跡探索開放の前日だけあって、準備する人であふれている。
一口に冒険者といってもその格好は様々だ。
俺らの世界から見るとファンタジーの世界から抜け出してきたようにやたら露出度の高い格好で出歩く少女までいる。
「あンな格好で冒険に出るなンざ、親はどんな教育をしてンだよ」
思わず口走ってしまった。
何事かと振り返ったライオスが俺の視線を目で追うと、猛スピードで駆け出した。
「おい!」
止めるまもなく目的の人物の上着の裾を掴む。
「ねえさま!」
軽装の少女が軽くうめいて立ち止まり、振り返る。
「げ、あいつが?」
思わずぼそりとこぼすと、ライオスがこっちを睨んだ。
「私のねえさまですが、何か問題でも?」
なんで聞こえてるんだよ。
チャイナ服のようなジャケット、これはまだ良い。
その下のインナーはすらりとしたしなやかな体に似合ってはいるが、ライオスより更に丈が短い。
ほとんど下着と変わらない薄紅色のマオカラーシャツ。
揃いのスカートはウエストラインまでしかないサスペンダーで釣ったいわゆるギリギリラインの超ミニで、正面に2箇所スリットまで入っている。
俺のいた世界での常識ではライオス自身も結構アレな格好だが、その姉もまた強烈だった。
見た感じ、せいぜい中学終わりか高校1年くらいなのだが、この島での経験上、実年齢は分かったモンではない。
俺は亡霊みたいなものだから、死んだ頃の常識で固まってしまってるのだろうか。
そんな事を思いながら、二人の側に移動する。
ねえさまと呼ばれた少女の上着を掴んだまま、誇らしげに胸を張ってライオスが言う。
「宿題、クリアです。
ねえさまの行き先、あの日言った【島】はとここの事です。」
「正解、よくできましたっ」
満面の笑みでライオスの頭をなでた。
ライオスは一瞬嬉しげに目を細めるが、プルプル頭を振って大げさにため息をつき、更に話し続ける。
「じゃあもう良いですね?後の事は何とかしますから」
「もうも何もこれからじゃないのよう」
服の裾を引っ張り続けるライオスに、姉は片眉を下げる。
話すことが沢山ありそうな二人に、俺は声を掛ける。
「あの」
「何ですか?大事な話の途中ですのに」
「とりあえず、場所移してからにしましょうぜ」
激しく人の行き交う大通りのど真ん中で長話をするのは、迷惑以外の何でもない。
=====初日・遺跡外大通りはずれ/昼過ぎ=====
大通りを少し外れると、人通りの少ない開けた平地があった。
余り大勢に聞かせる話ではないと判断し、3人で移動してきた。
俺はいない方が良いのではないかと思ったが、なぜか相対する姉妹だか姉弟だかから3歩離れた場所で成り行きを見守ることになった。
話し合いという名の一方的なケンカが始まって20数分。
ライオスは機関銃のように姉へ不満をまくし立てるが、ねえさまの方はというとのらりくらりかわしている。
暖簾に腕押し、というやつだ。
さすが家族、扱いなど心得たものだ。
「だからといって一人で、しかもそんな格好で…… ……!!」
「服の趣味は関係ないんじゃない?!」
「いやらしい目で見られないわけが無いでしょう! だから一人で冒険なんて反対なのです!」
碌に聞いてないが話題が3巡目に入った。
昨日のやり取りのこともあり、ライオスがちょっと年寄りくさく見えてきた。
が、ねえさまの方もからかっている節があるらしく、一向に話は終わらない。
本当に困った姉弟だか姉妹だ。
何とかして言い負かそうとするがうまくいかず、ライオスは次第に顔を真っ赤にしていく。
一方的に加熱している言い争いだが、そろそろ止めた方が良いだろう。
ライオスの肩に手を置いたその時。
「グルル・・・」
ライオスの喉から獣じみたうなり声が漏れる。
「なっ?!」
「ライちゃん!」
俺は慌てて手を引っ込めるが、遅かった。
振り向きざまに飛んできた拳に鳩尾をえぐられる。
痛みを感じる暇も無く、俺は無様に地を転がった。
息を整えるまもなく二撃目がくる。
寝返りを打ってかわそうと試みるがライオスの方が早く、右腕を掴まれてしまった。
何とか振りほどこうともがくがびくともしない。
みしっ……
ライオスの手の中で、俺の腕がいやな音を立てて本来の向きとは逆方向にしなる。
みしみしっ ゴキリ。
一瞬にして目の前が真っ白になる。
幸か不幸か、激痛が襲ってくる前に俺の意識はシャットダウンされた。
ああ、ここは俺が元住んでた世界じゃなく島なのだな、と妙に納得していた。
=====
ずきずきした腕の痛みと熱さに意識を呼び戻された。
こちらを覗き込む赤い目と黒い目。
ライオスとその姉だ。
どうも俺はライオスに腕を捻られた痛みで気絶していたらしい。
さっきまでライオス達が話し合いをしていた場所で、俺は仰向けに寝かされていた。
取りあえず起き上がろうとすると凄い剣幕で止められた。
「折れた腕を突こうとするなんて何事ですか!」
そうか、だからこんなに痛いのか。
折れてるんならこのズキズキも納得がいく。
「ってオイ、納得するところじゃねェよ。」
よく見ると添え木が当てら、布でぐるぐる巻きにされている。
正直、今も涙がにじむほど痛い。
俺は無事な左手を突いて起き上がる。
「あれからどうなったンで?」
目の前の二人にたずねたいことは色々あるが、とりあえず状況を把握したかった。
ライオスのねえさまが身振り手振りを交えて説明する。
「ライちゃんが暴走しちゃって君を攻撃し始めたから、わたしが愛のハグで目を覚まさせてあげたの。
君の腕折れちゃってるけど応急処置もバッチリうまくいってるでしょ?」
「ご、ごめんなさい。
私、カッとすると周りが見えなくて」
見た目どおりなら反抗期辺りだ、キレると収拾つかないのもある程度仕方がないのだろう。
相手は選んでほしいが。
そう思っていると、ライオスが不満げに付け加える。
「愛って言いますが、当身したじゃないですか。」
「あれは人様に迷惑かけた分のお・し・お・き。」
「もう、ねえさまの当身って気絶するから嫌なんです!」
こうしてみるとじゃれあってる仲の良い姉弟だか姉妹にしか見えない。
が、いつまでも見ているわけに行かないの。
ハートウォーミングなシーンをぶったぎるべく、俺は口を開く。
「とりあえず、二人再会できたンなら俺はそろそろ失礼しようかと思うンですが。」
二人は再会できたのだから、当然俺はお役御免になる。
今回の負傷で、早急に解決しなければならない問題ができてしまった。
人並みの治癒力しかない俺が腕を折るという事は遺跡探索ができなくなる、という事だ。
同行者と合流した後だが、他に組む相手を探してもらわなければならない。
渋い顔になってあれこれ考えてると、ライオスが俺の隣にやってきた。
「それなんですが、私、貴方についていこうと思います。」
「そうそう。
大サービスでライちゃんを貸しちゃうわよう」
俺がのびてる内にそんな話になっていたのか。
困った、またしてもうまい断り方が見つからない。
「いやいやいや、他所様の子供つれて行くってェのは不味いでしょう!」
「私は治療術とかお勉強してます。
腕を傷つけてしまった分、治すお手伝いをしたいのです。」
己の両手を握り締めて、ライオスが身を乗り出す。
「自分たちのことで手いっぱいなンで子供守れるか不安なンですが…」
「大丈夫、ライちゃんの腕っ節はさっき体験したでしょう?」
ねえさまは俺の背中をばしばし叩く。
軽く叩いてるつもりなんだろうが非常に痛い。
何を言っても無駄だというオーラが二人からにじみ出ている。
俺は白旗を揚げることにした。
=====
デジタル時計のパネルライトでは午前5時前。
まだみんな眠っているか画像表示をオフにして休んでるかしている。
俺の隣には白髪に黒メッシュの子供が丸くなって眠っている。
ジャケットに半パンという格好はどう見ても冒険に似つかわしくない。
こんな服装でよく今まで無事だったものだと思う。
思わずため息が出る。
服装といえばこいつの姉も……
=====初日、遺跡外・昼過ぎ=====
いったん集合場所に顔を出した俺は、同行者に事情を話してライオスの保護者を探したい旨を伝えた。
遺跡での探索は明日からということで、準備をしっかりするという条件付で時間をもらって、繁華街を探し歩いていた。
遺跡探索開放の前日だけあって、準備する人であふれている。
一口に冒険者といってもその格好は様々だ。
俺らの世界から見るとファンタジーの世界から抜け出してきたようにやたら露出度の高い格好で出歩く少女までいる。
「あンな格好で冒険に出るなンざ、親はどんな教育をしてンだよ」
思わず口走ってしまった。
何事かと振り返ったライオスが俺の視線を目で追うと、猛スピードで駆け出した。
「おい!」
止めるまもなく目的の人物の上着の裾を掴む。
「ねえさま!」
軽装の少女が軽くうめいて立ち止まり、振り返る。
「げ、あいつが?」
思わずぼそりとこぼすと、ライオスがこっちを睨んだ。
「私のねえさまですが、何か問題でも?」
なんで聞こえてるんだよ。
チャイナ服のようなジャケット、これはまだ良い。
その下のインナーはすらりとしたしなやかな体に似合ってはいるが、ライオスより更に丈が短い。
ほとんど下着と変わらない薄紅色のマオカラーシャツ。
揃いのスカートはウエストラインまでしかないサスペンダーで釣ったいわゆるギリギリラインの超ミニで、正面に2箇所スリットまで入っている。
俺のいた世界での常識ではライオス自身も結構アレな格好だが、その姉もまた強烈だった。
見た感じ、せいぜい中学終わりか高校1年くらいなのだが、この島での経験上、実年齢は分かったモンではない。
俺は亡霊みたいなものだから、死んだ頃の常識で固まってしまってるのだろうか。
そんな事を思いながら、二人の側に移動する。
ねえさまと呼ばれた少女の上着を掴んだまま、誇らしげに胸を張ってライオスが言う。
「宿題、クリアです。
ねえさまの行き先、あの日言った【島】はとここの事です。」
「正解、よくできましたっ」
満面の笑みでライオスの頭をなでた。
ライオスは一瞬嬉しげに目を細めるが、プルプル頭を振って大げさにため息をつき、更に話し続ける。
「じゃあもう良いですね?後の事は何とかしますから」
「もうも何もこれからじゃないのよう」
服の裾を引っ張り続けるライオスに、姉は片眉を下げる。
話すことが沢山ありそうな二人に、俺は声を掛ける。
「あの」
「何ですか?大事な話の途中ですのに」
「とりあえず、場所移してからにしましょうぜ」
激しく人の行き交う大通りのど真ん中で長話をするのは、迷惑以外の何でもない。
=====初日・遺跡外大通りはずれ/昼過ぎ=====
大通りを少し外れると、人通りの少ない開けた平地があった。
余り大勢に聞かせる話ではないと判断し、3人で移動してきた。
俺はいない方が良いのではないかと思ったが、なぜか相対する姉妹だか姉弟だかから3歩離れた場所で成り行きを見守ることになった。
話し合いという名の一方的なケンカが始まって20数分。
ライオスは機関銃のように姉へ不満をまくし立てるが、ねえさまの方はというとのらりくらりかわしている。
暖簾に腕押し、というやつだ。
さすが家族、扱いなど心得たものだ。
「だからといって一人で、しかもそんな格好で…… ……!!」
「服の趣味は関係ないんじゃない?!」
「いやらしい目で見られないわけが無いでしょう! だから一人で冒険なんて反対なのです!」
碌に聞いてないが話題が3巡目に入った。
昨日のやり取りのこともあり、ライオスがちょっと年寄りくさく見えてきた。
が、ねえさまの方もからかっている節があるらしく、一向に話は終わらない。
本当に困った姉弟だか姉妹だ。
何とかして言い負かそうとするがうまくいかず、ライオスは次第に顔を真っ赤にしていく。
一方的に加熱している言い争いだが、そろそろ止めた方が良いだろう。
ライオスの肩に手を置いたその時。
「グルル・・・」
ライオスの喉から獣じみたうなり声が漏れる。
「なっ?!」
「ライちゃん!」
俺は慌てて手を引っ込めるが、遅かった。
振り向きざまに飛んできた拳に鳩尾をえぐられる。
痛みを感じる暇も無く、俺は無様に地を転がった。
息を整えるまもなく二撃目がくる。
寝返りを打ってかわそうと試みるがライオスの方が早く、右腕を掴まれてしまった。
何とか振りほどこうともがくがびくともしない。
みしっ……
ライオスの手の中で、俺の腕がいやな音を立てて本来の向きとは逆方向にしなる。
みしみしっ ゴキリ。
一瞬にして目の前が真っ白になる。
幸か不幸か、激痛が襲ってくる前に俺の意識はシャットダウンされた。
ああ、ここは俺が元住んでた世界じゃなく島なのだな、と妙に納得していた。
=====
ずきずきした腕の痛みと熱さに意識を呼び戻された。
こちらを覗き込む赤い目と黒い目。
ライオスとその姉だ。
どうも俺はライオスに腕を捻られた痛みで気絶していたらしい。
さっきまでライオス達が話し合いをしていた場所で、俺は仰向けに寝かされていた。
取りあえず起き上がろうとすると凄い剣幕で止められた。
「折れた腕を突こうとするなんて何事ですか!」
そうか、だからこんなに痛いのか。
折れてるんならこのズキズキも納得がいく。
「ってオイ、納得するところじゃねェよ。」
よく見ると添え木が当てら、布でぐるぐる巻きにされている。
正直、今も涙がにじむほど痛い。
俺は無事な左手を突いて起き上がる。
「あれからどうなったンで?」
目の前の二人にたずねたいことは色々あるが、とりあえず状況を把握したかった。
ライオスのねえさまが身振り手振りを交えて説明する。
「ライちゃんが暴走しちゃって君を攻撃し始めたから、わたしが愛のハグで目を覚まさせてあげたの。
君の腕折れちゃってるけど応急処置もバッチリうまくいってるでしょ?」
「ご、ごめんなさい。
私、カッとすると周りが見えなくて」
見た目どおりなら反抗期辺りだ、キレると収拾つかないのもある程度仕方がないのだろう。
相手は選んでほしいが。
そう思っていると、ライオスが不満げに付け加える。
「愛って言いますが、当身したじゃないですか。」
「あれは人様に迷惑かけた分のお・し・お・き。」
「もう、ねえさまの当身って気絶するから嫌なんです!」
こうしてみるとじゃれあってる仲の良い姉弟だか姉妹にしか見えない。
が、いつまでも見ているわけに行かないの。
ハートウォーミングなシーンをぶったぎるべく、俺は口を開く。
「とりあえず、二人再会できたンなら俺はそろそろ失礼しようかと思うンですが。」
二人は再会できたのだから、当然俺はお役御免になる。
今回の負傷で、早急に解決しなければならない問題ができてしまった。
人並みの治癒力しかない俺が腕を折るという事は遺跡探索ができなくなる、という事だ。
同行者と合流した後だが、他に組む相手を探してもらわなければならない。
渋い顔になってあれこれ考えてると、ライオスが俺の隣にやってきた。
「それなんですが、私、貴方についていこうと思います。」
「そうそう。
大サービスでライちゃんを貸しちゃうわよう」
俺がのびてる内にそんな話になっていたのか。
困った、またしてもうまい断り方が見つからない。
「いやいやいや、他所様の子供つれて行くってェのは不味いでしょう!」
「私は治療術とかお勉強してます。
腕を傷つけてしまった分、治すお手伝いをしたいのです。」
己の両手を握り締めて、ライオスが身を乗り出す。
「自分たちのことで手いっぱいなンで子供守れるか不安なンですが…」
「大丈夫、ライちゃんの腕っ節はさっき体験したでしょう?」
ねえさまは俺の背中をばしばし叩く。
軽く叩いてるつもりなんだろうが非常に痛い。
何を言っても無駄だというオーラが二人からにじみ出ている。
俺は白旗を揚げることにした。
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