例のイベントの一ヵ月後って事で風呂敷くくり。
ちょっと出かけますよ。
分け目間違えて左右反転。
服の合わせ目も反転することを忘れてた。ぐは。
・実は駿斗は紗夜の別人格だった。
・本体が紗夜である事がばれないように髪を切り男装している。
・式村さんの本心を聞いてみたいのと浮気防止の為、式村さんに噛み付き続けている。
なんてオチはありません。
捻りも何にも無いふつーのシスコン日本男児で。
色々間に合わんかった。チキレイクナイ。
以下、日記
=====???・メモ帳の断片=====
(乱れた字ヅラの走り書き)
マンマミヤ~~~!
=====18日目・練習試合後=====
今日はキルサンとペットズと練習試合をした。
結果は俺の型に嵌りすぎたクセをアッサリ読まれ、惨敗。
「コレから先、練習試合ジャない、人狩り・デュエルが増える、予想される、ヨ?
先読ミ、もっと磨いテおけ?」
移動先で合流した後、キルサンは、いつもの無表情で淡々と言う。
その言葉が耳に痛かった。
練習試合だからと手を抜いている訳ではないが、デュエルとなれば負けられない。
相手の予想をすり抜け、己の手の内を明かさぬように、されど相手の手の内は予測しておかねばならない。
俺はまだまだ甘すぎる。
強くならなくてはいけない。
=====18日目・自由時間=====
合流したキルサンと、明日のサバス戦の打ち合わせをサクッと済ませる。
各々明日に備える自由時間となった。
「スルト」
「ハイな、何でしょう?」
「ホワイトデー、男の感謝デー、違うぞ」
「ン。そうなンで?」
確かにバレンタインデーにチョコを貰ってない人に対してホワイトデーに贈り物をするなんて話は聞いたことが無い。
「ホワイトデー、元々バレンタインデーの返礼日。
日本の飴業界がキャンディを贈る、企画して、日本人の気質と相まって風習化しタ」
「ンー……バレンタインデーは日本のOLさんが社交辞令に利用し始めたのがイベント定着、
贈り物はチョコレートって認識につながるきっかけだったと聞いたことあるンですよ」
「そう、ダ、ネ」
キルサンが肯定する。
「こう、義理っつーンじゃねェですけど、女性が普段お世話になってる人に、って気ぃ使う日があるのに
男は何もしねェってのがどうにも平等じゃねェ感じがして。
俺だって普段お世話になってる人に何か送ったりしてェなー、と」
だからと言って男にいきなり菓子類を渡されてもいい気しない、というのも分かってはいる。
「常識外れの愛想振りまき野郎とか、軽い人間に見えるかも知れねェのは否定しませんが……」
ぽりぽり、と頬を掻く。
「フーン。スルトのやりたいようにする、良いケド、ネ?」
気遣うような言葉をかけてくれた。
キルサンは俺が持っているキャンディの包みに視線を移す。
この島でホワイトデー用に市販されているキャンディで、ネイリサンにお返しとして用意したものだ。
キルサンが口を開き、更にホワイトデーの豆知識を追加してくれた。
「一般的な贈り物とされるキャンディ、好意。クッキー、友人。
マシュマロ、義理を意味する、とされてる ヨ」
「は……!?
好意ってェとやっぱこう、ライク的じゃなくラブ的な?」
「だ、ネ」
バレンタインデーが伝来してきた南蛮……じゃなくて西洋では、
チョコレートのお返しはマシュマロなんかが一般的だったらしい。
元々あった習慣が義理の証とされる、何とも不憫な気がする。
「え、でも俺ぁ何つーかそういうンじゃねくてホラ、何つーか、ね」
「言語として理解不能」
「あー……その、何つったら良いンでしょうねェ
その、好意っつー意味だと何か躊躇するンですよ」
「スルト、ネイリがキライ、か?」
「いやそうじゃねェンですよ。
ライクとして好きなのは間違いねェンですが。
こう、ラブっつーとホラ、相手に失礼な気がするっつーか」
「ネイリ、スルトに好意の証としてチョコを贈った。
スルト、ネイリに好意を持っている。
問題、あるのカ?」
キルサンはきょとんとした顔で、至極真面目に言ってみせる。
いやほら、俺なんかが好意持ってるとかだと迷惑だろうし、
俺なんかじゃあの娘には吊り合わないし、何より気恥ずかしい。
一般的に見て【捻くれている】俺の心情は、利器のキルサンには理解できないのだろう。
「何つーかこう、気持ちがどうのこうのってェンじゃなくて、
もっと、純粋に相手が喜んでくれるモンを贈りてェな、と思うわけで」
「それなら、ネイリが好きなモノ、贈るとイイ。違うカ?」
「ンー……好きなもの、ですか」
さらりと即答するキルサンに、悶絶する俺。
キルサンが言う事は正しいのだが、あの娘の好きな物って何だろう。
これまた悩む。花とかか?枯れちゃうし。
装飾品とか…… 俺じゃ無理か。
ネイリサンの好きなもの、好きなもの……
小一時間悩んだ。
あ。あるじゃないか。俺の手で作れる、ネイリサンの好きなもの。
=====18日目・夜=====
バレンタインデーに貰ったチョコへのお返しと、お世話に成っている人への礼。
思いつく限りの菓子類を作り、夫々に宛てて包む。
まぁ、男からいきなり菓子貰って嬉しいなんて思わねーだろうケド。
それでも俺の気持ちなのだ。ご理解戴きたく存じます。
作業中にふと横を見ると、式村がいた。
式村も可愛らしくラッピングされた包みを持っている。
意味を知ってか知らずか、中身はキャンディらしい。
こいつは…… 俺は半目で睨む。
そういえばバレンタインデーに見知らぬ可愛らしいお嬢さんからチョコレートを受け取っていた。
先日のスキャンダルについての釈明もまだ聞いていない。
一番ショックを受けたであろう紗夜は数時間の内になぜか式村への信頼を取り戻していたが。
そんな紗夜を放り出して何をしてるんだ、と思う。
思うが、女性の真心に返礼をしない方が失礼だ。
何も見なかった事にした。
=====19日目・早朝=====
G-SHOCKINGのパネルが丑三つ時を表示するのを確認。
こっそり起きて、作成を開始する。
数時間後、出来上がった物を包みながら、ある事に気がついた。
作ったは良いけどコレどうやって渡しに行くンだ俺。
態々渡しに来てくれた彼女への返礼だから、矢張り直接手渡したい。
だがエリアが違うので徒歩で渡しに行く事はできない。
必死に考えるが良い案が浮かばない。
神は 俺を 見捨てたのか ……
やや思考がカオスに入り始めた。
「駿斗さ~ん☆おはよ~ございますっ
今日はいい匂いしますね~☆」
目の前に俺よりでかい大鳩が現れた。
数日前、キルサンから預かる事になった大鳩、ベメルサンだ。
「あぁ、ベメルサン。おはようございます、で。
バレンタインデーに貰ったチョコのお返しを渡しに行きてェンですが、遠くて困ってるンですよ」
「あら。遠くにいるんですかぁ?」
「えぇ、C-19地点なンですよ……
ベメルサンにお願いするのも確かにアリなンですが、出来れば直接渡してェな、と思ってまして」
「なぁんだ~。そんな事お安い御用ですよっ!」
「いえ、だから手渡ししたくて悩んでるンですよ」
「そうですよう。スルトさんが背中に乗れば良いんですよ~☆」
ベメルサンの発言にぽかんとする。
その発想は無かった。
確かにベメルサンは成長期で、今現在、俺よりも二周り以上大きい。
だが、人間を乗せて飛べるんだろうか。
「あ、スルトさん、人間乗せて飛べるのかなんて思ってます~?
鳩の身体能力を舐めたが最期ですよっ!」
そう言ってベメルさんはクチバシで俺の上着の襟をくわえ、力いっぱい引き上げ……
ぽいっと俺の体を空中に放り上げた。
ベメルサン!力入れすぎ!
無駄にじたばたもがきながら落っこちる俺を難なく背中で受け止める。
「で、で、渡す包みはどれですか?」
ベメルサンは楽しそうにきょろきょろぴょこぴょこ飛び跳ねながら聞いてくる。
俺は振り落とされないように必死で捕まる。
確信犯か。確信犯なのか?
「参った!降参です;そこの風呂敷包みですよ」
「あ、これですねっ☆スルトさん、ハイッ」
俺は無言でベメルサンのクチバシから風呂敷包みを受け取り、袈裟懸けに自分の体に結わえ付ける。
落ちないように捕まりつつ、行き先を告げる。
「準備完了ですよ、C-19地点、ネイリサンのトコまで宜しくお願いします、で」
「準備オッケー!
それじゃしっかり捕まっててくださいねっ☆いきますよ~」
ベメルサンが身を低くし、跳ねると同時に羽ばたく。
冷たい風を切る感触や、風を切る音が凄い。
オマケに遺跡内の景色が目まぐるしく移り変わる。
更にベメルサンの高速飛行は、曲がり角でもスピードが落ちない。
初めての空の旅はかなりごとスリリングだった。
====19日目=====
変態を見つけた。
ちょ、コレは無理。
なんぼなんでも無理。生理的に無理!
しかし、脳裏に歩行雑草の姿がよぎる。
兄の帰りを待つ歩行雑草。
いや、でも ねぇ?
なんていうかドン引きしてしまってどうにも腰が引ける。
このままではいけない。
そういえば、ピンチの時は応援団を呼ぶと良い、と誰かが言っていた。
俺は肺一杯に空気を吸い込み、力の限り叫ぶ。
「お、お……
おうえんだーん!!」
「押ー忍!!」
土の中からなんか出た!
良く見ると、鉢巻をまいたスポーツ刈りのメガネ青年。
と、その両脇を固めるモヒカン、角刈りに眼帯のこわもてお兄さんズ。
皆黒いかっちりした服を身に着けている。
学ランっぽい……というか、応援服?
しかも、なんか聞き覚えのあるBGMが流れている。
たしか【俺の右手がGOD HAND】だ。
何この選曲センス
突拍子も無い展開に頭がついて来ない。
「変態を倒さなきゃ!」
俺は頭を抱えて不安を打ち明ける。
って、え? 何で俺こんな事してるんだ。
自分でも訳が判らない。
応援団はいつの間にか変態との戦闘で被害の出なさそうな距離をとり、拳を突き出して叫ぶ。
「押忍!!」
その瞬間、炎のように熱い気持ちが湧いてくる。
不思議な事に、今なら変態にも勝てそうな気がする。
「ウオオオオオ!」
よく分からない雄たけびを上げながら、俺は戦闘態勢に入った。
【誰も元ネタわからないと思う。ってか思いっきり退かれると思われ。
どっこいそれをやるの俺です。でも間に合う気がしない】
http://file.srt.blog.shinobi.jp/ouendan.jpg
(乱れた字ヅラの走り書き)
マンマミヤ~~~!
=====18日目・練習試合後=====
今日はキルサンとペットズと練習試合をした。
結果は俺の型に嵌りすぎたクセをアッサリ読まれ、惨敗。
「コレから先、練習試合ジャない、人狩り・デュエルが増える、予想される、ヨ?
先読ミ、もっと磨いテおけ?」
移動先で合流した後、キルサンは、いつもの無表情で淡々と言う。
その言葉が耳に痛かった。
練習試合だからと手を抜いている訳ではないが、デュエルとなれば負けられない。
相手の予想をすり抜け、己の手の内を明かさぬように、されど相手の手の内は予測しておかねばならない。
俺はまだまだ甘すぎる。
強くならなくてはいけない。
=====18日目・自由時間=====
合流したキルサンと、明日のサバス戦の打ち合わせをサクッと済ませる。
各々明日に備える自由時間となった。
「スルト」
「ハイな、何でしょう?」
「ホワイトデー、男の感謝デー、違うぞ」
「ン。そうなンで?」
確かにバレンタインデーにチョコを貰ってない人に対してホワイトデーに贈り物をするなんて話は聞いたことが無い。
「ホワイトデー、元々バレンタインデーの返礼日。
日本の飴業界がキャンディを贈る、企画して、日本人の気質と相まって風習化しタ」
「ンー……バレンタインデーは日本のOLさんが社交辞令に利用し始めたのがイベント定着、
贈り物はチョコレートって認識につながるきっかけだったと聞いたことあるンですよ」
「そう、ダ、ネ」
キルサンが肯定する。
「こう、義理っつーンじゃねェですけど、女性が普段お世話になってる人に、って気ぃ使う日があるのに
男は何もしねェってのがどうにも平等じゃねェ感じがして。
俺だって普段お世話になってる人に何か送ったりしてェなー、と」
だからと言って男にいきなり菓子類を渡されてもいい気しない、というのも分かってはいる。
「常識外れの愛想振りまき野郎とか、軽い人間に見えるかも知れねェのは否定しませんが……」
ぽりぽり、と頬を掻く。
「フーン。スルトのやりたいようにする、良いケド、ネ?」
気遣うような言葉をかけてくれた。
キルサンは俺が持っているキャンディの包みに視線を移す。
この島でホワイトデー用に市販されているキャンディで、ネイリサンにお返しとして用意したものだ。
キルサンが口を開き、更にホワイトデーの豆知識を追加してくれた。
「一般的な贈り物とされるキャンディ、好意。クッキー、友人。
マシュマロ、義理を意味する、とされてる ヨ」
「は……!?
好意ってェとやっぱこう、ライク的じゃなくラブ的な?」
「だ、ネ」
バレンタインデーが伝来してきた南蛮……じゃなくて西洋では、
チョコレートのお返しはマシュマロなんかが一般的だったらしい。
元々あった習慣が義理の証とされる、何とも不憫な気がする。
「え、でも俺ぁ何つーかそういうンじゃねくてホラ、何つーか、ね」
「言語として理解不能」
「あー……その、何つったら良いンでしょうねェ
その、好意っつー意味だと何か躊躇するンですよ」
「スルト、ネイリがキライ、か?」
「いやそうじゃねェンですよ。
ライクとして好きなのは間違いねェンですが。
こう、ラブっつーとホラ、相手に失礼な気がするっつーか」
「ネイリ、スルトに好意の証としてチョコを贈った。
スルト、ネイリに好意を持っている。
問題、あるのカ?」
キルサンはきょとんとした顔で、至極真面目に言ってみせる。
いやほら、俺なんかが好意持ってるとかだと迷惑だろうし、
俺なんかじゃあの娘には吊り合わないし、何より気恥ずかしい。
一般的に見て【捻くれている】俺の心情は、利器のキルサンには理解できないのだろう。
「何つーかこう、気持ちがどうのこうのってェンじゃなくて、
もっと、純粋に相手が喜んでくれるモンを贈りてェな、と思うわけで」
「それなら、ネイリが好きなモノ、贈るとイイ。違うカ?」
「ンー……好きなもの、ですか」
さらりと即答するキルサンに、悶絶する俺。
キルサンが言う事は正しいのだが、あの娘の好きな物って何だろう。
これまた悩む。花とかか?枯れちゃうし。
装飾品とか…… 俺じゃ無理か。
ネイリサンの好きなもの、好きなもの……
小一時間悩んだ。
あ。あるじゃないか。俺の手で作れる、ネイリサンの好きなもの。
=====18日目・夜=====
バレンタインデーに貰ったチョコへのお返しと、お世話に成っている人への礼。
思いつく限りの菓子類を作り、夫々に宛てて包む。
まぁ、男からいきなり菓子貰って嬉しいなんて思わねーだろうケド。
それでも俺の気持ちなのだ。ご理解戴きたく存じます。
作業中にふと横を見ると、式村がいた。
式村も可愛らしくラッピングされた包みを持っている。
意味を知ってか知らずか、中身はキャンディらしい。
こいつは…… 俺は半目で睨む。
そういえばバレンタインデーに見知らぬ可愛らしいお嬢さんからチョコレートを受け取っていた。
先日のスキャンダルについての釈明もまだ聞いていない。
一番ショックを受けたであろう紗夜は数時間の内になぜか式村への信頼を取り戻していたが。
そんな紗夜を放り出して何をしてるんだ、と思う。
思うが、女性の真心に返礼をしない方が失礼だ。
何も見なかった事にした。
=====19日目・早朝=====
G-SHOCKINGのパネルが丑三つ時を表示するのを確認。
こっそり起きて、作成を開始する。
数時間後、出来上がった物を包みながら、ある事に気がついた。
作ったは良いけどコレどうやって渡しに行くンだ俺。
態々渡しに来てくれた彼女への返礼だから、矢張り直接手渡したい。
だがエリアが違うので徒歩で渡しに行く事はできない。
必死に考えるが良い案が浮かばない。
神は 俺を 見捨てたのか ……
やや思考がカオスに入り始めた。
「駿斗さ~ん☆おはよ~ございますっ
今日はいい匂いしますね~☆」
目の前に俺よりでかい大鳩が現れた。
数日前、キルサンから預かる事になった大鳩、ベメルサンだ。
「あぁ、ベメルサン。おはようございます、で。
バレンタインデーに貰ったチョコのお返しを渡しに行きてェンですが、遠くて困ってるンですよ」
「あら。遠くにいるんですかぁ?」
「えぇ、C-19地点なンですよ……
ベメルサンにお願いするのも確かにアリなンですが、出来れば直接渡してェな、と思ってまして」
「なぁんだ~。そんな事お安い御用ですよっ!」
「いえ、だから手渡ししたくて悩んでるンですよ」
「そうですよう。スルトさんが背中に乗れば良いんですよ~☆」
ベメルサンの発言にぽかんとする。
その発想は無かった。
確かにベメルサンは成長期で、今現在、俺よりも二周り以上大きい。
だが、人間を乗せて飛べるんだろうか。
「あ、スルトさん、人間乗せて飛べるのかなんて思ってます~?
鳩の身体能力を舐めたが最期ですよっ!」
そう言ってベメルさんはクチバシで俺の上着の襟をくわえ、力いっぱい引き上げ……
ぽいっと俺の体を空中に放り上げた。
ベメルサン!力入れすぎ!
無駄にじたばたもがきながら落っこちる俺を難なく背中で受け止める。
「で、で、渡す包みはどれですか?」
ベメルサンは楽しそうにきょろきょろぴょこぴょこ飛び跳ねながら聞いてくる。
俺は振り落とされないように必死で捕まる。
確信犯か。確信犯なのか?
「参った!降参です;そこの風呂敷包みですよ」
「あ、これですねっ☆スルトさん、ハイッ」
俺は無言でベメルサンのクチバシから風呂敷包みを受け取り、袈裟懸けに自分の体に結わえ付ける。
落ちないように捕まりつつ、行き先を告げる。
「準備完了ですよ、C-19地点、ネイリサンのトコまで宜しくお願いします、で」
「準備オッケー!
それじゃしっかり捕まっててくださいねっ☆いきますよ~」
ベメルサンが身を低くし、跳ねると同時に羽ばたく。
冷たい風を切る感触や、風を切る音が凄い。
オマケに遺跡内の景色が目まぐるしく移り変わる。
更にベメルサンの高速飛行は、曲がり角でもスピードが落ちない。
初めての空の旅はかなりごとスリリングだった。
====19日目=====
変態を見つけた。
ちょ、コレは無理。
なんぼなんでも無理。生理的に無理!
しかし、脳裏に歩行雑草の姿がよぎる。
兄の帰りを待つ歩行雑草。
いや、でも ねぇ?
なんていうかドン引きしてしまってどうにも腰が引ける。
このままではいけない。
そういえば、ピンチの時は応援団を呼ぶと良い、と誰かが言っていた。
俺は肺一杯に空気を吸い込み、力の限り叫ぶ。
「お、お……
おうえんだーん!!」
「押ー忍!!」
土の中からなんか出た!
良く見ると、鉢巻をまいたスポーツ刈りのメガネ青年。
と、その両脇を固めるモヒカン、角刈りに眼帯のこわもてお兄さんズ。
皆黒いかっちりした服を身に着けている。
学ランっぽい……というか、応援服?
しかも、なんか聞き覚えのあるBGMが流れている。
たしか【俺の右手がGOD HAND】だ。
何この選曲センス
突拍子も無い展開に頭がついて来ない。
「変態を倒さなきゃ!」
俺は頭を抱えて不安を打ち明ける。
って、え? 何で俺こんな事してるんだ。
自分でも訳が判らない。
応援団はいつの間にか変態との戦闘で被害の出なさそうな距離をとり、拳を突き出して叫ぶ。
「押忍!!」
その瞬間、炎のように熱い気持ちが湧いてくる。
不思議な事に、今なら変態にも勝てそうな気がする。
「ウオオオオオ!」
よく分からない雄たけびを上げながら、俺は戦闘態勢に入った。
【誰も元ネタわからないと思う。ってか思いっきり退かれると思われ。
どっこいそれをやるの俺です。でも間に合う気がしない】
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