うーん……
他人から見るとそういうモンなのか。
まぁ俺がチキンだからそう簡単に好きだの何だの言えないっつーか
ろくでなしには勿体無い良い子だからまぶしくてできないっつーか。
てか人気者にこんなマイナーどころがついちゃファンに殺されるしかないじゃないか。
常識的に考えて。
つーか本人が俺をどう思ってるのかが問題であって。
……まぁなんだ。青春ぶったぼやきがしてみたい年頃って事で。
年齢=彼女居ない歴だろうが、起きたら傍にマスクが落ちてようが
たとい報われなかろうが。
俺はS・H・I・Tマスクにはなんねぇ。
なんねぇんだってば!
以下、日記
他人から見るとそういうモンなのか。
まぁ俺がチキンだからそう簡単に好きだの何だの言えないっつーか
ろくでなしには勿体無い良い子だからまぶしくてできないっつーか。
てか人気者にこんなマイナーどころがついちゃファンに殺されるしかないじゃないか。
常識的に考えて。
つーか本人が俺をどう思ってるのかが問題であって。
……まぁなんだ。青春ぶったぼやきがしてみたい年頃って事で。
年齢=彼女居ない歴だろうが、起きたら傍にマスクが落ちてようが
たとい報われなかろうが。
俺はS・H・I・Tマスクにはなんねぇ。
なんねぇんだってば!
以下、日記
=====
今日はお父さんとお母さんが帰ってこない。
二人で留守番をしていた。
学校から帰って来たお姉ちゃんは、今は二階の部屋で宿題をしている。
「終わったら降りてくるから、良い子にして待っててね?」
そう言ってにっこり笑いながら、僕の頭を撫でてくれた。
僕は一階の居間で宿題をした。
今日はさんすうのけいさんドリル2ページと、こくごドリルが2ページと、本読みだけ。
30分位で宿題が終わった。
本読みの宿題は、あとでお姉ちゃんに聞いてもらおう。
ランドセルの中にドリルとふでばこをしまった。
時計を見ると4時50分だった。
お姉ちゃんはまだ降りてこない。
牛乳を飲もうと思って開けた冷蔵庫には、僕らの夕ごはんらしいものは無かった。
何か作らないといけない。
炊飯器の中にご飯がまだあった。
僕は居間に戻って、ビデオテープを探した。
お姉ちゃんに録画してもらった【ひとりで作るもん!】を何度も見直しながら、カレーとサラダを作った。
「♪たまねぎ にんじん ぶたにく おじゃが~
たまねーぎ 目にしみてーも 泪はー見せられーないもの~」
カレーになりたし、という歌を歌いながらカレーを作った。
手を切らないように、ピーラーで野菜の皮をむいた。
まな板の下にちゃんとぬれふきんもおいた。
猫みたいに手を丸めて野菜をおさえて、できるだけビデオで言ってたのと同じ大きさに切る。
にんじんじゃがいもは楽だったけど、たまねぎが目にしみた。
男らしくがまんして作った。
ゆで卵を作って、トマトとレタスときゅうりとにんじんをつかったサラダもつくった。
おいしいにおいのカレーができあがった。
時計を見ると6時30分を過ぎていた。
お姉ちゃんはまだ降りてこない。
宿題が大変なのかもしれない。
「お姉ちゃん、ばんごはんだよー」
僕は少し得意になってお姉ちゃんを呼んだ。
=====
「お姉ちゃん、晩ご飯だよー」
夕飯時だというのに、何度呼んでもお姉ちゃんが降りてこない。
僕は部屋の前までお姉ちゃんを呼びに行く事にした。
「お姉ちゃん、ごはんだよ?」
返事が、無い。
何度かドア越しに声を掛けたけど、返事がない。
もしかして歌でも聞いてるのかな、と思ってドアをノックした。
何回叩いても、どんなに強く叩いても返事がない。
どうしたんだろうと思って、僕は扉に耳を当ててみた。
しゃくりあげながら何かを繰り返しているのが聞こえる。
お姉ちゃん、泣いてる?
「……お姉ちゃん?」
もう一度呼んでみたけど、やっぱり返事が無い。
いつもなら、僕が呼ぶと必ず返事をしてくれるのに。
無視なんてされた事がない。
いつも一緒に居てくれる。
からかわれて少し困る事はあるけれど、僕はおねえちゃんが大好きだ。
お姉ちゃんはいつも僕の味方をして、助けてくれるから。
それなのに、今日は一度も返事をしてくれない。
僕はだんだん、怖くなってきた。
「お姉ちゃん!」
凄く嫌な気持ちがして、ドアノブを掴んだ。
――キィ。
扉はあっけなく開いた。鍵は、あいていた。
お姉ちゃんは、ベッドの上に座っていた。
右手に銀色のものさしを持って、
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
泣きながら、ずっと繰り返していた。
=====17日目・朝=====
何か鋭いもので突付かれたような衝撃に、意識を引き戻される
「…さん。スルトさん、スルトさんっ」
心配そうに此方を覗き込むのはキルサンから預かった大鳩のベメルサンだった。
「あっ。おはようございま~す♪
スルトさん、ず~~~っとうなされてたんですよ~……
もう、心配しましたよぅ!」
ベメルサンはぴょこぴょこ跳ねては首の角度を変え、ばさばさ羽を動かして説明する。
どうも、俺がうなされてるのを心配して、何度か声をかけてくれていたらしい。
それでも起きないのに慌てて、クチバシで突付いたらしい。
額の辺りがじんじん痛む。
手加減してくれてたらしいのが幸だが、結構効く。
痛みのお陰で夢が中断されて良かったと心底思う。
あれは俺にとって、凄く思い出したく無いが、忘れられない光景だ。
夢の中でその出来事が再生されるのは久しぶりだ。
もう10年近く経つというのに、いつ見てもどこまでも鮮明だ。
きっと俺は一生忘れないんだと思う。
「……ありがとうございます、で。えぇ、ヤな夢見てまして。
ベメルサンのお陰で助かりましたよ」
そう言って撫でると、ベメルサンは誇らしげに胸を張った。
今日はお父さんとお母さんが帰ってこない。
二人で留守番をしていた。
学校から帰って来たお姉ちゃんは、今は二階の部屋で宿題をしている。
「終わったら降りてくるから、良い子にして待っててね?」
そう言ってにっこり笑いながら、僕の頭を撫でてくれた。
僕は一階の居間で宿題をした。
今日はさんすうのけいさんドリル2ページと、こくごドリルが2ページと、本読みだけ。
30分位で宿題が終わった。
本読みの宿題は、あとでお姉ちゃんに聞いてもらおう。
ランドセルの中にドリルとふでばこをしまった。
時計を見ると4時50分だった。
お姉ちゃんはまだ降りてこない。
牛乳を飲もうと思って開けた冷蔵庫には、僕らの夕ごはんらしいものは無かった。
何か作らないといけない。
炊飯器の中にご飯がまだあった。
僕は居間に戻って、ビデオテープを探した。
お姉ちゃんに録画してもらった【ひとりで作るもん!】を何度も見直しながら、カレーとサラダを作った。
「♪たまねぎ にんじん ぶたにく おじゃが~
たまねーぎ 目にしみてーも 泪はー見せられーないもの~」
カレーになりたし、という歌を歌いながらカレーを作った。
手を切らないように、ピーラーで野菜の皮をむいた。
まな板の下にちゃんとぬれふきんもおいた。
猫みたいに手を丸めて野菜をおさえて、できるだけビデオで言ってたのと同じ大きさに切る。
にんじんじゃがいもは楽だったけど、たまねぎが目にしみた。
男らしくがまんして作った。
ゆで卵を作って、トマトとレタスときゅうりとにんじんをつかったサラダもつくった。
おいしいにおいのカレーができあがった。
時計を見ると6時30分を過ぎていた。
お姉ちゃんはまだ降りてこない。
宿題が大変なのかもしれない。
「お姉ちゃん、ばんごはんだよー」
僕は少し得意になってお姉ちゃんを呼んだ。
=====
「お姉ちゃん、晩ご飯だよー」
夕飯時だというのに、何度呼んでもお姉ちゃんが降りてこない。
僕は部屋の前までお姉ちゃんを呼びに行く事にした。
「お姉ちゃん、ごはんだよ?」
返事が、無い。
何度かドア越しに声を掛けたけど、返事がない。
もしかして歌でも聞いてるのかな、と思ってドアをノックした。
何回叩いても、どんなに強く叩いても返事がない。
どうしたんだろうと思って、僕は扉に耳を当ててみた。
しゃくりあげながら何かを繰り返しているのが聞こえる。
お姉ちゃん、泣いてる?
「……お姉ちゃん?」
もう一度呼んでみたけど、やっぱり返事が無い。
いつもなら、僕が呼ぶと必ず返事をしてくれるのに。
無視なんてされた事がない。
いつも一緒に居てくれる。
からかわれて少し困る事はあるけれど、僕はおねえちゃんが大好きだ。
お姉ちゃんはいつも僕の味方をして、助けてくれるから。
それなのに、今日は一度も返事をしてくれない。
僕はだんだん、怖くなってきた。
「お姉ちゃん!」
凄く嫌な気持ちがして、ドアノブを掴んだ。
――キィ。
扉はあっけなく開いた。鍵は、あいていた。
お姉ちゃんは、ベッドの上に座っていた。
右手に銀色のものさしを持って、
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
泣きながら、ずっと繰り返していた。
=====17日目・朝=====
何か鋭いもので突付かれたような衝撃に、意識を引き戻される
「…さん。スルトさん、スルトさんっ」
心配そうに此方を覗き込むのはキルサンから預かった大鳩のベメルサンだった。
「あっ。おはようございま~す♪
スルトさん、ず~~~っとうなされてたんですよ~……
もう、心配しましたよぅ!」
ベメルサンはぴょこぴょこ跳ねては首の角度を変え、ばさばさ羽を動かして説明する。
どうも、俺がうなされてるのを心配して、何度か声をかけてくれていたらしい。
それでも起きないのに慌てて、クチバシで突付いたらしい。
額の辺りがじんじん痛む。
手加減してくれてたらしいのが幸だが、結構効く。
痛みのお陰で夢が中断されて良かったと心底思う。
あれは俺にとって、凄く思い出したく無いが、忘れられない光景だ。
夢の中でその出来事が再生されるのは久しぶりだ。
もう10年近く経つというのに、いつ見てもどこまでも鮮明だ。
きっと俺は一生忘れないんだと思う。
「……ありがとうございます、で。えぇ、ヤな夢見てまして。
ベメルサンのお陰で助かりましたよ」
そう言って撫でると、ベメルサンは誇らしげに胸を張った。
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