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2024/04/19 14:45 |
*幕間*
 最近どうも食欲が出ない。
理由は色々あると思う。
例えば、波が来ず、メモ帳の出会った人の容貌外部記憶が一向に増えない事。


以下、モヤっと思考。
・式村の件。
なんつーかなぁ…。
認めたくねェが、最後には認めざるを得ないだろう。
だが認めるそぶりを見せるとどこまでも墓穴を掘る奴だと見る。
少なくとも島から帰るまでは認めてる事を表に出さねェ事にする。
正直、奴を認めているのか諦観しているのか俺自身よく解らねェ。


・クソ親父の件。
どうしてくれようか。

紗夜が見合いなんざ無理に決まってる。

ここだけの話、紗夜の様子が少し妙になったのが気になっていた。
婚約騒動の証言で、それが式村と再会した頃と時期が合う事が解った。
式村は俺の姉に何をしてくれやがった、と大層恨んだものだ。
だが冷静に考えれば、再会以前と比べ、紗夜はほんの少しマトモな行動が取れるようになっている。
いつか年相応の、普通の女性になれるのかもしれない。
だがその原動力は式村に対して妄信的なまでの想いだ。
そんな女を好んで嫁に貰う奴も居ないだろう。

となると、やっぱ施設かどっかに入れようとしてやがンだろうな。
虎渡砲でも用意しておくべきか。油断も隙もねェ。
最悪、こっちに居る方がマシかも知れないとすら思えてくる……
俺が思い詰めすぎてるだけだと信じたい。

ああもう、誰が父親なんだか
わかりゃしねェ。


・虎渡から送られた危険物(呪術チョコ)の処分法
……は、毒矢か封殺料理に使うか。
ある意味有用だ。ついでに式村の手元にある分も処分してやるか。
別に、奴が困ってるのを助けてやるのではない。
奴にとっては無用の長物なら、有効活用出来る俺の手元にあるほうがよかろう。
それだけだ。
今日覚えた技名はストマックエイク。和訳で腹痛をあらわす。
これは、使えそうじゃないか。虎渡の呪術チョコ効果観察、実験台はサバス辺りだろうか。


それから、黒い骨のような守護をつれている、白いあの娘のこt……

いや、何か脳裏をよぎるたびに動悸がするっつーか。うん。
だが、俺なんぞと仲良く成ってくれたあんな良い子なのだ。
友達として健全な付き合いを心掛けたい。

バレンタインチョコをわざわざ苦労して持ってきてくれるような良い子。
彼女とはPTぐるみのおつきあいというやつで、キルサンや式村とも結構仲が良い。
やっぱり渡してるんだろうか、と思っていたが、意外な事に彼女からのチョコを貰ったのは俺だけだったらしい。
いつも一緒にいる、黒い魚の骨のような姿をした、ネクロと呼ばれている存在が居なかったのも気になる。
妙な期待がよぎるのを抑えるので精一杯だった。

俺がもうちょいマトモで魅力ある人間だったら吊り合いが取れるのだろうか。
……ってああ、そういう事は考えねェって言っただろう俺。
ここカット。カットな!


そんな訳で、悩み多き少年の俺はバレンタインに貰ったチョコにもあまり手をつけていない。
同行者に分けようにも式村もキルサンも貰っていたし圭さんはお返しが多い事が予測される。
一緒に食ってくれと言って良いのか悩んでしまう。


「どぉしたんですか~?」
空から降ってくる声に顔を上げると、一羽の大鳩が舞い降りてきた。
「あぁ、ベメルサン」
俺は大鳩の名前を呼び、抱きつくように撫でる。
ベメルサンは頭を摺り寄せて甘えてくる。
まだ微妙な間柄ではあるが、俺はこの大鳩を気に入っている。

元々キルサンに懐いて付いてきたが、諸事情で俺が預かっている。
数日前、元々の仲間だった大鳩2羽が、用心棒の狼2頭を引き連れてベメルサンを連れ戻しに来た。
しかし、成長したベメルサンや同行者の敵ではなく、
連れ戻しに来た大鳩二羽はめでたく同行者の腹を満たす糧になり、
二頭居た狼のうち1頭はキルサンの僕になった後、式村に託された。

「んー…物思う年頃、って奴なンですよ」
最初に投げかけられた疑問に対してそう返事すると、ベメルサンはきょとんとした様子で首を傾げた。


=====

「名前?」
「ですよぉ。式村センセ~のところのセンセ~狼は考え中なんですよっ」
ベメルサンは話しながら、大げさな身振りで俺に訴えてくる。
どうも俺が新しく名前を付けないことが疑問らしい。

キルサンからエラスと名を与えられたものの、割とすぐ式村兄妹にトスされた、元センセー狼。
 狼センセーは式村兄妹で名前を考え、圭さんが新しくカサイと名付けた。
 確かに、今はベメルサンは俺のパートナーであり、付き合いも狼センセーと式村兄妹よりは長い。
 同行して日が浅いのに、センセー狼の方が可愛がられ、馴染んで溶け込んでいる様に見えなくも無い。

 ベメルサンはそれが羨ましかったのだろうか。 
だが俺は、ベメル、とキルサンに名付けられてはしゃいでいた姿が印象的で、何となく変える気が起きない。
性格にはベメルケンというらしいが、ベメルサン、の方が呼びやすい。
「そうですねェ……ンじゃ、アパッチとかどうです?」

ベメルサンを連れ戻しに来た大鳩が使っていた呼び名を、冗談めかした口調で提案してみる。
ベメルサンは豆鉄砲でも食らったような顔をして一歩俺から飛び退いた。

「もう!意地悪ですよ~!ぷいっ」

俺に新しい名前を考える気が無い、と言うのが伝わったらしい。
ベメルサンは拗ねた声を出してそっぽを向いた。
擬音まで発生する必要はないと思うが、そんなに不満なのだろうか。
正直言葉にして言うのは気恥ずかしいが、言うしか無いだろう。

「俺、ベメルサンの今の名前が気に入ってるンですよね。
キルサンに命名された時、ベメルサンがすげェ嬉しそうでしたし」
「う~……」
「ベメルサンはその名前、嫌なンで?」
「この名前は大好きですよぅ。でも~…… 」

新たに名付けられるという行為がそんなに大事なのだろうか。
ベメルサンは真剣だが、俺にはその真剣さ、こだわりが理解できない。
そもそも俺にはネーミングセンスというものが欠如している。
新たに名付けた所でベメルサンの好みに合うものになる保証は無い
暫く迷った後、俺はもう一度提案をしてみる

「ンじゃ、俺も【ベメル】という名付ける、ってのはどうです?」
ベメルサンはまた豆鉄砲でも食らったような表情をした。
一瞬間を置いて、ベメルサンはコクコク頷く。
「わっかりました~☆」
そう言って、ホバリングする。
ちょっと嬉しそうに見えた。

「お世話に成った人から、バレンタインに貰ったチョコがあるンですよ。
一緒に食べましょうぜ」
「え~?!スルトさん、チョコ貰ったんですかぁ!?」
「……何ですかその意外そうなツラ。
ベメルサンいじわるですよ~!ぷいっ」

先刻のベメルサンのマネをしてそっぽ向いてみると、ベメルサンは慌てたようにぴょこぴょここっちに寄って来る。
「ちゃんと分けますンで大丈夫ですよ」
慌てる様子が面白くて、少し笑いながら、俺はベメルサンを撫でる。
大鳩と呼ばれるだけあって元々大柄ではあったが、成長し、いまや俺よりも大きくなったベメルサン。
人間で言うとまだかなり若いようで、成長期の食べ盛りだ。
チョコが体に合うか否か解らないが、一緒に食べたいと思った。

俺はこの先ドコまでベメルサンと一緒に居られるんだろう。
楽しく過ごせるといいな、と、心底思った。



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2007/03/12 21:20 | Comments(0) | TrackBack() | 雑記

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