いつもどおりの日記補完
=====5日目・朝=====
俺の腕が故障して3日目。
“俺の腕を治す”と言ってついて来る事になった風変わりな子供・ライは、毎朝目を覚ますと腕の具合を見に来る。
そいつは腕の具合を見て治療術を施すのだが、キルサンが俺の体に走らせてくれている鎮痛や治癒力を高めるプログラムと相性が良いのか患部の痛みはあまり感じなくなっていた。
作業を終えたライはいつもなら何もなく自分の身繕いを始めるのだが、今日に限って神妙な顔でうつむいていた。
「どうかしたンで?」
そのままにしておくのも気持ち悪いので、つい声をかけてしまう。
「この島には何があるのですか?」
真顔で切り出された質問に俺はぽかんと口を開けてしまった。
そんなことも知らずにこの島に来たのか、この子は。
俺の様子など目の端にも入れず、ライが続ける。
「私の家はちょっとした事情で、お薬が必要なのです」
「へェ?」
「ねえさまはこの島に何かがあると言ってました」
確かライは姉を追ってこの島に来たと言っていた。
受け取った招待状に詳細は書いていなかった気もするが、姉を追うのに必死でろくに読んでいなかったのだろう。
「ここにいる皆様は、何か万能薬みたいなものを必要とされているのですか?」
ライは心底不思議そうに小首を傾げる。
知らないなら仕方がないが、幾らなんでもその考え方は無いと思う。
俺は小さくため息をついて、口を開く。
「さすがにそりゃありませンぜ」
「……ですよね」
俺に否定され、ライは顔を赤くして目をそらす。
「俺が以前島で探してたのは宝玉っツー宝石みてェな玉で、一応俺は今回もそれ狙いなンですよ」
「ほうぎょく?」
ライがこちらに向き直り、興味深げな視線をこちらに向ける。
「“全ての種類を集めると願いが叶う”ってェ触れ込みでしたねェ。
今回もあるたぁ限りませンが、あると信じてここに来た訳で。」
「そうなんですか。
ミマサカの願い事って何なのですか?」
そういえば、願い事と急に言われてもあるようでないようで……。
ツーか俺の願い事って何だったっけか?
気がついたら島にいた気もする。
「そりゃ相当長げェ話になるンで今回は無しで」
「ケチですね」
「その内話しますよ」
要らぬ嘘でその場を繋ぐ事にした。
そもそも、願いがあっても宝玉がなければ話にならない。
「所で出発準備は?」
見ればキルサンもリルサンもとっくに起き出して各々の準備や確認作業に入っている。
「ま、まだです!」
「じゃ、急ぎなせェ」
「はいっ」
弾かれる様に立ち上がったライは、小走りで自分の寝ていた場所に戻っていった。
その背中を見送りながら、俺も立ち上がった。
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俺の腕が故障して3日目。
“俺の腕を治す”と言ってついて来る事になった風変わりな子供・ライは、毎朝目を覚ますと腕の具合を見に来る。
そいつは腕の具合を見て治療術を施すのだが、キルサンが俺の体に走らせてくれている鎮痛や治癒力を高めるプログラムと相性が良いのか患部の痛みはあまり感じなくなっていた。
作業を終えたライはいつもなら何もなく自分の身繕いを始めるのだが、今日に限って神妙な顔でうつむいていた。
「どうかしたンで?」
そのままにしておくのも気持ち悪いので、つい声をかけてしまう。
「この島には何があるのですか?」
真顔で切り出された質問に俺はぽかんと口を開けてしまった。
そんなことも知らずにこの島に来たのか、この子は。
俺の様子など目の端にも入れず、ライが続ける。
「私の家はちょっとした事情で、お薬が必要なのです」
「へェ?」
「ねえさまはこの島に何かがあると言ってました」
確かライは姉を追ってこの島に来たと言っていた。
受け取った招待状に詳細は書いていなかった気もするが、姉を追うのに必死でろくに読んでいなかったのだろう。
「ここにいる皆様は、何か万能薬みたいなものを必要とされているのですか?」
ライは心底不思議そうに小首を傾げる。
知らないなら仕方がないが、幾らなんでもその考え方は無いと思う。
俺は小さくため息をついて、口を開く。
「さすがにそりゃありませンぜ」
「……ですよね」
俺に否定され、ライは顔を赤くして目をそらす。
「俺が以前島で探してたのは宝玉っツー宝石みてェな玉で、一応俺は今回もそれ狙いなンですよ」
「ほうぎょく?」
ライがこちらに向き直り、興味深げな視線をこちらに向ける。
「“全ての種類を集めると願いが叶う”ってェ触れ込みでしたねェ。
今回もあるたぁ限りませンが、あると信じてここに来た訳で。」
「そうなんですか。
ミマサカの願い事って何なのですか?」
そういえば、願い事と急に言われてもあるようでないようで……。
ツーか俺の願い事って何だったっけか?
気がついたら島にいた気もする。
「そりゃ相当長げェ話になるンで今回は無しで」
「ケチですね」
「その内話しますよ」
要らぬ嘘でその場を繋ぐ事にした。
そもそも、願いがあっても宝玉がなければ話にならない。
「所で出発準備は?」
見ればキルサンもリルサンもとっくに起き出して各々の準備や確認作業に入っている。
「ま、まだです!」
「じゃ、急ぎなせェ」
「はいっ」
弾かれる様に立ち上がったライは、小走りで自分の寝ていた場所に戻っていった。
その背中を見送りながら、俺も立ち上がった。
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