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2024/11/26 13:16 |
13日目
 今回は何のネタも無いし、悪いぼやきしか浮かばん心境なんで迷ったけどいっとく。

体壊してまで俺の相手してンなよ。
そういうの、嫌いだ。

俺の相手する暇があったら休め。
ただでさえ忙しい時期だし、俺の性格上、
送信先からメッセが帰ってこなくなるなんてザラだ。

だから、送ってくれた人には返す。
キルサンみてぇに絶望的に余裕が無いとか、よっぽどでなきゃ何があっても返す。
俺の分休めよ。
風邪引いて苦しい の原因に俺が少なからず入ってンだから。

 風邪だ体調不良だ、そんなしんどい思いさせるために相手してもらってる訳じゃない。
之は誰に対しても一緒。
故に俺のお相手をしてくださる方は、俺の優先度を一番最後にしてくださる事を望む。

 思いやりやら気の利いたことなんざできん。
きつい言葉にしか成らんけどぼやき。

以下、日記
=====12日目・遺跡外=====

今回も、何とか無事戻って来る事が出来た。
壁だらけの生活からの一時の解放。
生きているって素晴らしい、と一瞬だけ思う。

夕暮れ時の遺跡外は人で賑わっている。
黄昏色の太陽光がとてもまぶしい。
夕暮れ時の遺跡は不気味と言えば不気味だが、風流と言えば風流だ。

明日の行動に差し支えぬよう、されど慎重に、次回の探索方針を決める。
悔しいが今の俺らには変態サバスと対峙して確実に勝てる保証が無い。
少しの間、他の陣を踏んで回る事に決め、野営の準備と相成った。


=====

「スルト」
キャンプグッズを広げようとした俺を、無機質な声が呼び止めた。
「へぇ。何か?」
「ベメル、スルトに預ける」
その言葉と共に、キルサンの傍に大鳩が舞い降りる。
先日俺が届け物を頼んだキルサンのペットの、ベメルサンだ。
ベメルサンも事前に聞いていたのか、こちらに向かってぴょこぴょこ跳ね、嘴を開いた。
「あ~いよ~、んじゃこれからよろしくなっ」

――ついにきたか。
一応その話は聞いていたが、実際その時が来ると多少モヤッとする。
正味な話、巧くやっていける自信が無いのだ。

「スルトの魅惑レベル、魅力ステータスから見て、保守、簡単じゃナイケド、ね?」

嘘偽りの無い正直さ、純粋さと、容赦なさを併せ持つキルサンの言葉に閉口した。
AIやプログラムの正しい在り方だとは思うが、軽く言葉のナイフだ。
心で泣いている俺を他所に、ベメルサンは再び空中浮遊に出かけ、キルサンはこくん、と一度頷く。

「之で、今日、必要な行動、話し合い、終わり、カナ?
ジャア、明日。ネ?」
そういうとキルサンはグラフィックをオフにした。
何やら作業が佳境に入っているらしい。

野営地でキャンプの準備が整い、夕食の準備を始める事になった。
式村兄妹に断りを入れ、少し野営地の外に出してもらう事になった。


=====12日目・遺跡外=====

賑わう野営地周辺から少し離れて、人気の無い所へ出る。

懐から携帯端末を取り出し、電源を入れる。
待ち受け画面が表示されたのを確認し、発信履歴の最後から2番目にカーソルを合わせて通話キーを押す。
3コール目で、中高年の男が返って来る。

明日から、また遺跡に入る。遺跡内では電源を切るのが俺のルールだ。
その前に、今回の探索で起きた事の触りを報告する。
通信端末の向こうからは、相変わらず相槌一つ、感嘆詞一つ返って来ない。

「……今んトコ、報告はそんなモンです」
そうしめくくると、間髪入れず男の声が返ってくる。
「そうか。では同行して引き続き調査を」

変わらぬ平坦な声に苛つく。
少し、鎌をかけてみる事にした。

「……判りましたよ。所で紗夜は」
「駿斗。雑談なら……」

全て言わせてたまるか。
淀みなく台本を読み上げるような中年男の声に割って入る。

「休日にしなさいと言った筈、ですっけ。
今度のお休みはいつなンで?」
「……」

プツリ。ツー、ツー、ツー……
返事は無かった。
今日は特別な仕事なのだろう。
【日々の疲れを取り、仕事に備える為の仕事】と言う事らしい。
他者の前ではどう表現してるのか知らないが。

「……」
まだ手の中で鳴り続ける、どこの店でも見たことの無い通信端末を睨んだ。


=====12日目・夜、経過報告後=====

終話コールに鳴き飽きた端末を睨んでいる時だった。

……ぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!

聞き覚えのある声が聞こえた。この声は確か、セリーズさん、だったか。
脳裏に勝気で赤毛の少女の像が浮かぶのと同時に、遠くから全力疾走する彼女の姿が見えた。
その後ろに鬼気迫る形相の青少年を連れて

「こんクソガキャアアアアアアアアアアアアアア!!」

気合いゲージ満タンで叫ぶ青少年の方は、全く見覚えの無い人だった。
なぜかこちらに向けて走ってくるランナー達。
できれば温かく見送らせてほしいんだが。

なぜ俺のほうに向かってくる

なんか青少年からは「捕まったら殺される」的オーラがバチバチ放たれている。
青少年の前を走る少女・セリーズサンが口をパクパク動かしているが、よく聞き取れない。
ちょっと距離を置くか、と思ったその時、彼女は凄い形相で叫んだ。

「お、おーい!! 逃げて、逃げてぇぇぇぇぇ!!

ハァ?
なぜ俺が逃げねばならんのだ。

と思ったが、彼女を追いかけてる青少年の気迫が矢鱈怖い
とりあえず走る事にした。全力で

「逃げると見せかけて別働隊と合流かコラ!! いい度胸じゃねえか!!
お前か、お前もかああああああああ!!!

青少年は鬼神の如きオーラで勘違いなさっている。
怖すぎる。生命の危機を感じた。

「こ、ここまで怒ること違うじゃんよ……」

俺の後ろを駆けるセリーズサンが呟く。
何やったんだコイツは
彼女はどこか抜けているというかうっかり系で、つい先日も気軽に俺の逆鱗に触れた前科がある。
追跡者にアレだけの怨念を放出させる事をしでかしてその発言か。
俺は一気に呆れた。

「いや、どう見たって通りすがりの一般人ですが! つか何なんですか」
俺はやや振り返り気味になり、とりあえず、追跡者に向けて自己主張をしてみる。
当然、速度が緩まり、自然とセリーズサンの後ろを走る事になった。
鬼気迫るオーラの青少年は全く速度を緩めず、即答する。

「そいつの一応保護者!! 保護者!? うん、保護者!!」
「一応トップの人!! うちの組織の!!」

セリーズサンのフォロー情報が入る。
どうやら若者が集まってやんちゃする愚連隊みたいなものなんだろうか。
俺への説明で気がそれたのか、セリーズサンの走る速度が若干緩まる。
その瞬間、追跡者の目がギラリ、と光った気がした。 

「一般人でも何でも、歌舞伎揚げ食った奴ぁ」
話しながらも素早く身を縮め、跳躍した。
肉食獣の狩りを連想するような滑らかで速やかな動きだった。

ピンチの時には走馬灯のように、世界の動きが妙にスローになると言う。
秒にも満たない程の時間で青少年がぐんぐん目の前に迫ってくる。
空中で更に体勢を変え、とび蹴りの姿勢になっていく様子がよく見える。

ああ、俺の冒険はここで終わってしまうのか。
覚悟を決めたその時だった。

コロス!!
底冷えするような死刑宣告と共に、鈍い音が響き渡る。
「へうっ!?」
後頭部にライダーキックをモロに喰らったセリーズサンが、不思議な悲鳴と共に吹っ飛んでいった。
その姿を見送る俺は何がなんだかさっぱりで、
「ハァ?」
しか言えなかった。

追跡者はセリーズサンに蹴りを決めた後、更に踏み台にして俺の前に着地する。
セリーズサンは地面で数度バウンドし、少し土にめり込んで動かなくなった。
青少年は荒い息をつき、まだ皮膚に刺さりそうな殺気を放っている。

ちょ、まだ俺タゲられてンですか。

勘違いされてるようなので仕方ないが。
とりあえず受身を取る程度の心構えが必要か、と思いつつ、青少年の同行を見守る。
身長差は10数センチと言った所か。
俺より多少高いようだが、顔つきはまだ少年らしさというか悪がきっぽさが残っている。
俺と同じか、もしかしたら歳下かもしれない。
十数秒後、息を整え伸びをして、男が口を開いた。

「あー……、すっきりした」

今までの殺気やオーラ等無かったかのように、あっけらかんと言ってのけた。
ドリフティーズのコントとかだとここで皆がずっこける、って位の豹変ぶりだ。
何か、ツッコミを入れなきゃいけない気がしてきた。

「……よくわかりませんが女性にそんな事したら死にますって」

ツッコミポイントを確実に間違えてるが、セリーズサンは地面にめり込んで痙攣している。
流石にちょっと拙いんではなかろうか。
俺はセリーズサンの傍により、生死確認つか容態確認をする。

「ん? ああ、大丈夫大丈夫。それなりに頑丈にできてるからこいつ
巻き込んじまったみてえだな」

少年はセリーズサンには容赦ないことを言いつつ、俺に対してはややすまなそうに喋る。
そのギャップに多少呆れる。

「そりゃ、タフな事で。損傷とかさほど無ェんなら、良いンですが」

とりあえず地面にめり込んでるセリーズサンを掘り出しておいた方が良い気がする。

「体は丈夫でもオツムは弱めだ。ったく……。
一人で訓練に放り出すようなレベルじゃねえだろうに…… 」
少年はブツブツと毒づいた。
今は俺に話してるわけではないようだ。

「……んで、お前も……」

底冷えするような声とどす黒い気配に振り向くと、目が合った。
日本人ってぇのは割と視線を逸らす文化の持ち主だが、なぜか今は逸らしてはいけないような気がした。
てか、やましい所も無ェのに疑われるのも難だし。





かと言ってこう、無言で見詰め合うのも何か嫌だ
あれだ。とりあえず挨拶しておく事にした。
「あー、よくわかりませんが初めまして?」

今更ではあるが、他に気の利いた挨拶など思い浮かばなかった。
数秒後、射るような視線が和らぎ、追跡者の少年は首を横に振った。

「……お前は、違うな。
セリーズと共謀しそうな雰囲気でも、そそのかす雰囲気でもねえ。
ああ、始めましてだな。俺は誠幸寺 鷹宏(せごうじ たかひろ)
こいつの上司みたいなもんだ」

世の中には随分と年若い上司もいるものだ。
そう思って誠幸寺と名乗った少年を見ていると、彼は急に全身から嫌な汗を滲ませた。
そして、気まずそうな顔と声で付け加えた。

「……わり、ゴタゴタに巻き込んじまったみてえだな」



【気力切れ。スマセン。続く】
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2007/02/10 12:18 | Comments(0) | TrackBack() | 偽島日記

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