プロフ絵間に合わなかった気がする。読みづらいのでちょっと行間とか手直し。
以下、日記
以下、日記
=====某月某日。美作家======
「赤い蓋のは冷蔵で1週間、黄色が2週間は保つ奴。
で、青は冷凍で1ヶ月くらい持つからな。不摂生せずに食うんだぞ?」
野菜炒め、煮物、カレー、シチュー、餃子やシュウマイ、果てはケーキ等々。
料理と、保存期間によって色分けされているタッパーの山を、ダイニングテーブルに積み上げる。
俺と同じ顔をしている女はタッパーの中身を見てはきゃあきゃあと歓喜する。
恐ろしい事に双子か兄妹に見られる事もあるが、彼女は俺より6つも年上だ。つまり、姉さん。
俺は自分が年相応に見えると信じている。あいつがガキっぽいだけで俺が老けてるワケじゃない。断じてない。
「俺、料理人の資格取る為に勉強するわ」
できるだけさりげなく切り出すと、姉はタッパーから視線を外して俺の目を見つめる。俺は視線を逸らさず続ける。
「暫く猛勉強するから来ない。その間、紗夜の事は母さんに頼んだ」
10年前に心を病んで以来、彼女は幼児後退している節がある。お世辞にも姉らしいとは言えない。
いつの間にか俺は姉さん、ではなく紗夜、と名前で呼ぶようになっていた。
暫く会わないとなると、ガスの元栓やら鍵はきちんと締めろだのなんだの、普段できてる事まで心配になってくる。
「すーちゃん?」
紗夜が俺を呼ぶ。
「ん?」
「お出かけするなら正直に言うと良いんだよ。ウソはダメだよ」
暢気な調子で言う。すっかりバレていた。
「気をつけてね、いってらっしゃい」
そういって、紗夜はにこり、と笑った。俺は多分、一生こいつには敵わないと思う。
=====某月某日:回想=====
何で俺にあの招待状が届いたのか判らない。
俺は人生に退屈していない。と言うか、寧ろ忙しい位なのだ。
妙なダイレクトメールなど破いて捨てる積もりでいた。
だが、そうも行かなくなった。なぜか。最近俺の姉、紗夜に恋人ができたからだ。
心を病んでいるとはいえ姉も年頃の女だ。恋の一つや二つしたって良いだろう。
相手が誰だろうと俺には関係ない事だ。
その恋人は招待状に記された島で暫く冒険する、と聞いたのは半月ほど前だったか。
危険な所らしい。しかしそれも俺には関係ない事だと思っていた。
恋人が帰ってきたら二人は結婚するのだと聞くまでは。
姉の家に寄り付かない両親にはマイルドな表現で報告した。両親と俺の3人で家族会議が開かれた。
結果、素行調査の為に俺が駆り出される事になった。
=====島上陸、1日目=====
俺は多分、奴を恨んでるんだと思う。それも潰したいくらい。
だが奴を潰したら、紗夜は泣くだろう。
紗夜は奴に懐いている。12年物の想いの効果も大いにあるだろう。
一緒にしていい奴かどうか生態を調べて、ろくでもない奴だったら
それなら、潰していいだろう。
島から帰れなかった。もしくは冒険の方が好きだと行って去った。そう報告すれば良い。
とりあえず、奴を。監視対象を見つけなければ。
そう大きくない島だが、招待客が1000人以上も集まっているという。
何の祭かと思ってしまうほどヒトや人ならざる者がいる。
「こんだけ客でごった返してりゃそうそう簡単にゃ見つからないでしょうがねぇ……
全く。何てこったい」
先が思いやられる。思わず愚痴がこぼれた。
=====1日目、=====
マップを見ながらどちらの魔方陣に進むか考えつつ、遺跡外を散策する。
平原と砂地は初心者向けらしいと誰かが言っていた。
平原を目指しても良いが、砂浜は足腰を鍛えるのに良い。
何となく、砂地に行きたい気がする。
だがその前に、まずは探索の準備だ。それに、監視対象を探し出さなければならない。
そんな事を考えながらサクサクと砂地を進んで行くと、
焚き火を囲んで談笑する男女の姿が目に入った。
男は黒髪に黒目で20代前半程。ガタイがよく、半裸でありえない大きさのハンマーに腰掛けている。
近くに服が干されている所を見ると、海に落ちたのか。裸族という訳ではなさそうだ。
女の方は多少若く見える。17~8程、俺と同い年か、1~2歳差程ではないかと思う。
肩まで伸ばした黒髪と、ぼんやりしているようなきりっとしているような不思議な顔をしている。
二人が何を話しているのかは判らないし聞く気も無いが、
女が少し顔を赤らめて拗ねるように何か言っている。そんな彼女をからかう様に、男はニヤニヤ笑う。
良い雰囲気と取れなくも無い。
「ぁー……あの野郎マジで消して良い気がするんですが。」
早々に最悪の報告事項ができた。
俺はどうしようもなく醒めた気持ちで、二人に近づき、男の背後に立つ。
気配が判ったのか、男が振り返る。見覚えのある顔をしていた。
ペンダントトップ代わりの真新しい銀の指輪が胸で光る。俺が首にかけてる物に酷似していた。
「……うぇ、やっぱアンタかよ」
まずは挨拶すべきだろうが、とてもそんな気にはなれなかった。
振り返った男は少し考えて、俺に返す。
「あァ? ……お前、美作駿斗か?何でこんなトコにいるんだよ、オイ」
名前は覚えていたらしい。生徒の名前を忘れないのは褒めるに値する事だ。
その人間性は全く褒められたものではないが。
「え? 何この展開? えーと、知り合い?」
隣の女は困惑している。俺が答える前に男が説明する。
「元生徒」
「その生徒さんが何でまたこんな所に…?」
二人の疑問は最もな事だが、一から説明すればかなり長い話になる。俺は平坦な口調を心がけて喋る。
「わかんねぇかな、まぁ何から言ったらいいんでしょうね」
「グダグダ言われても困るから手短に言えばいいぞ」
かつての恩師はぞんざいに返す。
「んじゃ手短に。 ドウモ紗夜、姉がお世話になってまス」
単刀直入にお答えして見せると、かつての恩師かつ未来の義兄(仮)
そしてあっさり見つかった監視対象こと式村醍は、ぽかんとした顔でフリーズした。
俺の姉を玩んでおいて早速浮気ですか不倫ですか?
しかも未成年の美少女と。いい御身ですねこの野郎。
そんな気持ちを込めて、俺は微笑んだ。
「赤い蓋のは冷蔵で1週間、黄色が2週間は保つ奴。
で、青は冷凍で1ヶ月くらい持つからな。不摂生せずに食うんだぞ?」
野菜炒め、煮物、カレー、シチュー、餃子やシュウマイ、果てはケーキ等々。
料理と、保存期間によって色分けされているタッパーの山を、ダイニングテーブルに積み上げる。
俺と同じ顔をしている女はタッパーの中身を見てはきゃあきゃあと歓喜する。
恐ろしい事に双子か兄妹に見られる事もあるが、彼女は俺より6つも年上だ。つまり、姉さん。
俺は自分が年相応に見えると信じている。あいつがガキっぽいだけで俺が老けてるワケじゃない。断じてない。
「俺、料理人の資格取る為に勉強するわ」
できるだけさりげなく切り出すと、姉はタッパーから視線を外して俺の目を見つめる。俺は視線を逸らさず続ける。
「暫く猛勉強するから来ない。その間、紗夜の事は母さんに頼んだ」
10年前に心を病んで以来、彼女は幼児後退している節がある。お世辞にも姉らしいとは言えない。
いつの間にか俺は姉さん、ではなく紗夜、と名前で呼ぶようになっていた。
暫く会わないとなると、ガスの元栓やら鍵はきちんと締めろだのなんだの、普段できてる事まで心配になってくる。
「すーちゃん?」
紗夜が俺を呼ぶ。
「ん?」
「お出かけするなら正直に言うと良いんだよ。ウソはダメだよ」
暢気な調子で言う。すっかりバレていた。
「気をつけてね、いってらっしゃい」
そういって、紗夜はにこり、と笑った。俺は多分、一生こいつには敵わないと思う。
=====某月某日:回想=====
何で俺にあの招待状が届いたのか判らない。
俺は人生に退屈していない。と言うか、寧ろ忙しい位なのだ。
妙なダイレクトメールなど破いて捨てる積もりでいた。
だが、そうも行かなくなった。なぜか。最近俺の姉、紗夜に恋人ができたからだ。
心を病んでいるとはいえ姉も年頃の女だ。恋の一つや二つしたって良いだろう。
相手が誰だろうと俺には関係ない事だ。
その恋人は招待状に記された島で暫く冒険する、と聞いたのは半月ほど前だったか。
危険な所らしい。しかしそれも俺には関係ない事だと思っていた。
恋人が帰ってきたら二人は結婚するのだと聞くまでは。
姉の家に寄り付かない両親にはマイルドな表現で報告した。両親と俺の3人で家族会議が開かれた。
結果、素行調査の為に俺が駆り出される事になった。
=====島上陸、1日目=====
俺は多分、奴を恨んでるんだと思う。それも潰したいくらい。
だが奴を潰したら、紗夜は泣くだろう。
紗夜は奴に懐いている。12年物の想いの効果も大いにあるだろう。
一緒にしていい奴かどうか生態を調べて、ろくでもない奴だったら
それなら、潰していいだろう。
島から帰れなかった。もしくは冒険の方が好きだと行って去った。そう報告すれば良い。
とりあえず、奴を。監視対象を見つけなければ。
そう大きくない島だが、招待客が1000人以上も集まっているという。
何の祭かと思ってしまうほどヒトや人ならざる者がいる。
「こんだけ客でごった返してりゃそうそう簡単にゃ見つからないでしょうがねぇ……
全く。何てこったい」
先が思いやられる。思わず愚痴がこぼれた。
=====1日目、=====
マップを見ながらどちらの魔方陣に進むか考えつつ、遺跡外を散策する。
平原と砂地は初心者向けらしいと誰かが言っていた。
平原を目指しても良いが、砂浜は足腰を鍛えるのに良い。
何となく、砂地に行きたい気がする。
だがその前に、まずは探索の準備だ。それに、監視対象を探し出さなければならない。
そんな事を考えながらサクサクと砂地を進んで行くと、
焚き火を囲んで談笑する男女の姿が目に入った。
男は黒髪に黒目で20代前半程。ガタイがよく、半裸でありえない大きさのハンマーに腰掛けている。
近くに服が干されている所を見ると、海に落ちたのか。裸族という訳ではなさそうだ。
女の方は多少若く見える。17~8程、俺と同い年か、1~2歳差程ではないかと思う。
肩まで伸ばした黒髪と、ぼんやりしているようなきりっとしているような不思議な顔をしている。
二人が何を話しているのかは判らないし聞く気も無いが、
女が少し顔を赤らめて拗ねるように何か言っている。そんな彼女をからかう様に、男はニヤニヤ笑う。
良い雰囲気と取れなくも無い。
「ぁー……あの野郎マジで消して良い気がするんですが。」
早々に最悪の報告事項ができた。
俺はどうしようもなく醒めた気持ちで、二人に近づき、男の背後に立つ。
気配が判ったのか、男が振り返る。見覚えのある顔をしていた。
ペンダントトップ代わりの真新しい銀の指輪が胸で光る。俺が首にかけてる物に酷似していた。
「……うぇ、やっぱアンタかよ」
まずは挨拶すべきだろうが、とてもそんな気にはなれなかった。
振り返った男は少し考えて、俺に返す。
「あァ? ……お前、美作駿斗か?何でこんなトコにいるんだよ、オイ」
名前は覚えていたらしい。生徒の名前を忘れないのは褒めるに値する事だ。
その人間性は全く褒められたものではないが。
「え? 何この展開? えーと、知り合い?」
隣の女は困惑している。俺が答える前に男が説明する。
「元生徒」
「その生徒さんが何でまたこんな所に…?」
二人の疑問は最もな事だが、一から説明すればかなり長い話になる。俺は平坦な口調を心がけて喋る。
「わかんねぇかな、まぁ何から言ったらいいんでしょうね」
「グダグダ言われても困るから手短に言えばいいぞ」
かつての恩師はぞんざいに返す。
「んじゃ手短に。 ドウモ紗夜、姉がお世話になってまス」
単刀直入にお答えして見せると、かつての恩師かつ未来の義兄(仮)
そしてあっさり見つかった監視対象こと式村醍は、ぽかんとした顔でフリーズした。
俺の姉を玩んでおいて早速浮気ですか不倫ですか?
しかも未成年の美少女と。いい御身ですねこの野郎。
そんな気持ちを込めて、俺は微笑んだ。
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